なぜ企業からのオファーが止まないのか クリエイター・修一朗の頭のなかをのぞいてみた

なぜ企業からのオファーが止まないのか クリエイター・修一朗の頭のなかをのぞいてみた
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2022/12/23 08:00

 あらゆるステークホルダーを巻き込みながら、企業やブランドを成長させていくことが求められるようになった昨今。その中で大きな役割を果たすようになったのが、クリエイターです。より良いものを生み出すために、両者は何を意識し、どのように関われば良いのでしょうか。本コーナーでは、企業やブランドとクリエイターの共創のありかたを探ります。今回お話を伺ったのは「TikTokでの企業案件数なら誰にも負けません!」と語る、クリエイターの修一朗さんです。

1本目の投稿から1日で50万再生も「想定どおり」

――まずはクリエイターとしての活動の経歴について教えてください。

今の肩書は、在学7年目の中央大学生、YouTuber、TikTokクリエイターの3つです。大学入学と同じ2016年にスタートしたYouTubeは当時とても盛り上がっていたので、友人とふたりで動画をつくるようになりました。TikTokを始めたのはちょうどコロナが流行し始めた2020年の6月ですが、いまではTikTokクリエイターとしての顔をいちばん知っていただいていると思います。

TikTokを始める前に5年間YouTubeをやっていたときは、横長の7分くらいの尺の動画を投稿していました。いわゆるYouTuberになりたかったのですが、5年間取り組んで登録者は100人ほど。やばいなとは思っていたものの、数字を追わずに楽しく取り組んでいましたし、動画の編集を学べたらといった気持ちで行っていたのですが、自身にフォーカスしなかったので全然伸びなかったですね。ちょうど2020年3月にシンガポールに留学していたのですが、そのときにコロナウィルスが流行し始めたため、留学のプログラムも終了、強制的に帰国せざるを得ませんでした。帰国時、僕は陰性だったものの、隔離期間が2週間でまったく外に出れなかったので「暇だしひとりで動画つくるか」と思って始めたのがTikTokです。そうしたら1本目の投稿からバズったんですよね。

@tuckinshuichiro 【30日後ゲップせず47都道府県言う男】完結 #30日後ゲップせずに47都道府県言う男 #おうちで過ごし隊 #みんなに見せたい動画 #9日目 ♬ オリジナル楽曲 - ADM

 

ひとつ間違いなく当たるなと思っていたのは、しっかりと編集されているコンテンツです。今は字幕や音楽、ナレーションを入れることが当たり前だと思いますが、当時は女子高生が踊っているダンスやクチパク系(リップシンク)が全盛期でした。そのなかでYouTubeを一緒にやっていた友人と話したところ、「字幕などが入っているコンテンツが全然ないし、逆に編集してみれば?」との意見をもらい、がっつりと編集をした動画を投稿したんです。正直、内容は何でも当たる、それよりも早さとわかりやすさが大切だと思い、王道のコーラゲップをしたところ、狙いどおりバズらせることができた。投稿から1日で50万回再生されました。

ただ、再生回数は伸びたものの行っていることはYouTubeと同じだったため、TikTokを活動の軸にしていこうとはまったく考えていませんでした。全精力を注いで取り組むというより、コロナ禍で友人と作っていたYouTubeの動画が作れなくなったので、TikTokで作るしかなかったんです。

そこから毎日投稿を始め、フォロワーは約2ヵ月で40~50万人くらいまで一気に増えました。当時ちょうど就職活動をしていたため、TikTokとどちらかを選ぼうと思い「TikTokが今すごく伸びているから、集中して取り組んでみてもいいですか?」と親に相談。コロナが流行し始めたばかりで、外にでることをかなり制限されていた時期だったので、4年生の4月にその年は休学することを決めました。1年ほど留学で日本を離れており就活の状況がわからなかったこと、留学も特待生で行けたり成績が良かったことなどを理由に「1年猶予があっても良いでしょ?」と相談しましたが、TikTokが伸びていたため就活はもういいかなと内心思っていました(笑)。

クリエイター 修一朗さん
クリエイター 修一朗さん

最初はTikTokにおけるvlogの第一人者になりたかったこと、縦のvlogという概念がTikTokになかったこと、YouTubeで5年間やってきたなどの理由から、長尺でナレーションのあるvlogをメインに投稿していました。そのときはただただ、自分のクリエイティブを流行らせたいという気持ちでしたね。

――TikTokだからこそ、コンテンツ制作でこだわっている点はありますか?

Tiktokのいちばんの強みはインパクトだと思っています。動画のカロリーの高さ、とも言えるかもしれません。そこがテレビやYouTubeの長尺だと安心・安定が強みにもなると思うのですが、TikTokは短いですし、没入はするものの視聴者さんもそこまでひとりの人を追いかけたりしない。そこで求められることはインパクトではないかと思い、30秒や60秒でより刺激的なコンテンツを探すようにしています。

トレンドをチェックするのはYouTubeが多く、意識しているのはアメリカのYouTubeでバズっているものをいち早く掴むこと。アメリカでバズるのは基本的に「刺激的だから」という理由であることが多いので、それを日本でいちばんはじめに自分のコンテンツとして取り組めばバズる確率も上がります。英語で吸収して英語でアウトプットされているコンテンツは世界にたくさんありますが、僕のように英語で取り込んだものを日本語で排出している人はあまりいなかったんです。

効果検証もしていますが、動画を作っている過程で、大体どれくらいの数字になるかを良そうできるようになりました。プラットフォームによって異なりますが、これは300万再生くらいいくなとか、YouTube Shortsであれば300万は堅いけど、TikTokだったら100万くらい、それにコメント欄が盛り上がれば200万までいくかなとか。それが外れたら、感覚が狂ってきたと思い、台本を分析します。

その際におもにチェックしているのは再生回数です。どうしてもいいね数はファンの人数に左右されてしまうため、ファンがたくさんいるアイドルの方などはいいね数と再生回数が連動しないことも多い。ですが僕は作品づくりをするクリエイターで、ただただ動画を作りたいだけなので、作品に対する評価という意味で再生回数を追うようにしています。

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