人生をかけてエンタメ業界を変えていく ショートドラマアプリ「BUMP」ができるまでの4年間の物語【前編】

人生をかけてエンタメ業界を変えていく ショートドラマアプリ「BUMP」ができるまでの4年間の物語【前編】
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2023/10/30 08:00

 ショート動画全盛の時代に新たなアプリが登場した。1話3分のショートドラマアプリ「BUMP」だ。BUMPを手掛けるemoleで代表取締役をつとめる澤村直道さんは、1994年生まれ。「Forbes JAPAN 30 UNDER 30」に選出された人物だ。アプリのダウンロード数はリリースから約8ヵ月で50万超え、今年9月には2.6億円の資金調達実施など、業界でもその注目度は増している。そんなBUMPはどんな背景で生まれ、どのように成長してきたのか、今何を見据えているのか。前編では澤村さんに、BUMPの構想にたどり着くまでの紆余曲折を語ってもらった。

起業は「中学生から考えていた」 ひたすら行動して見つけたライフミッションとは

――まずは、起業した経緯からお聞かせください。

自分のやりたいことを見つけ、仲間と一緒に追いかける生きかたをしたかったため、それで生計を立てていくのであれば起業かなと中学3年生ごろから考えていました。ただ、大学時代は自分のやりたいことがわからず、まずは1回就職し、起業につながることを学ぼうという考えのもと就職活動をしていたのですが、魅力的だと感じる企業がひとつもありませんでした。自分自身としては「逃げた」という感覚でしたが就職活動をストップすることにしたんです。

そんなとき、当時インターンをしていた会社の代表に相談したところ、「入りたいところがないなら自分で何か立ち上げてみたら?」と声をかけてもらったんです。それまでは「命をかけてやりたいことでなければ僕はできない」と思っていましたが、そもそも命をかけたいものがわからないのであれば、まずは目の前にある小さな興味に対してアクションを起こしていかなければ……。そう考えるようになり、大学卒業直後はひたすら、少しでもやってみたいと思ったことを深く考えずにとにかくやってみるようにしていました。

そのなかで一時期やりたいと思っていたことのひとつが、途上国にしかないもので商品を作り、それを日本で売るというビジネス。起業家が問われる「誰のなにを解決したいか」を考えたときに、「日本は十分幸せだから、それならば貧しい国の人たちのためになることに取り組んだほうが良いのではないか」と非常に安直ながら思い至りました。

そこで東南アジア最貧国のカンボジアで生活をし、現地にしかないものを見つけようとしていたのですが、実際に行ってみたら、「現地の人はめちゃくちゃ幸せじゃないか」「経済的な豊かさ=精神的な豊かさではないんだ」とハッとしたんです。

株式会社emole 代表取締役 澤村直道さん
株式会社emole 代表取締役 澤村直道さん

そこで自分にとっての精神的な豊かさとはなにかを考えてみたところ、僕のなかでは「『仲間』とともに『目標に向かって行動できている状態』」がもっとも幸せなことだと気づきました。それと同時に、実際にそういうふうに生きることができている人はとても少ないのではないか。人生80年あるなかで最初の20年は学生生活で仲間とともに目標に向かっていけるのに、それ以降の人生でなぜそういう生きかたができないんだろう。そう思い、「好きなことに仲間と挑戦して生きていける世界を作る」ことをライフミッションにしようと決めました。それが大学を卒業して約1年後、2018年のこと。そのタイミングで法人化もしました。

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