「3Dスキャン」がデザインやクリエイティブにもたらす可能性を徹底考察

「3Dスキャン」がデザインやクリエイティブにもたらす可能性を徹底考察
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 XRやメタバースといったキーワードは依然として未来を感じさせる魅力的な響きを含む一方、一過性のブームが去ったように捉えられる風潮もあります。こうしたなか、デザイナーやクリエイターとしてバーチャル文化とどのように向き合うべきなのか、疑問に思う人も多いかもしれません。この連載では、デザイナーやクリエイターの観点を主軸に、Oculus Rift DK1時代からXRに取り組み作品制作や企業のXR導入支援を行ってきたCHAOSRU代表の内藤薫さんが、その全体像を俯瞰した考察をまとめていきます。第3回は、リアルな世界の空間やオブジェを3Dデータ化する「3Dスキャン」がデザインやクリエイティブにもたらす可能性についてです。

3Dスキャンの世界への入り口

 3Dスキャンと言ってもあまりピンと来ない方は、まずは3D共有サイト「SketchFab」で「Photogrammetry」と検索し、さまざまな事例を見てみてください。建物、空間からオブジェ、食べ物、人間まで、本当に多くのスキャンデータを見ることができ、こんなに細かく再現できるのかと驚く方も多いのではないでしょうか。

 

 

3Dスキャンは何に使うのか

 3Dスキャン技術自体は何十年も前から研究されており、製造業分野を中心に発達してきました。建設現場のシミュレーションやインフラ業界の遠隔地資料共有といった大がかりな現場のプロダクションにおけるコスト削減ツールとしての活用は、発展の背景として納得しやすいかもしれません。

 それ以外にも不動産の管理物件の詳細資料として、ジャーナリズムの現場資料として、文化遺産の保存など、さまざまな業界へ広がっています。そして近年では、特殊な機材や知識がなくても比較的簡単に3Dスキャンを扱えるようになってきたことから、さらなる民主化と分野開拓が模索されていると言っても良いのではないでしょうか。

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