新感覚検知アプリ「AlterMo」の開発プロセスから、より良いUIUXデザインのヒントを探る

新感覚検知アプリ「AlterMo」の開発プロセスから、より良いUIUXデザインのヒントを探る
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 デジタルプロダクション「factory4」でアプリやさまざまなIoTプロジェクトのUIUXデザインを手がける新谷友樹さんが、UIやUXにまつわるトピックについて解説する本連載。今回は同社の検知アプリ「AlterMo」がどのような課題から生まれたのか、それを解決するためにどんなデザイン手法を用いたのかなどを解説。そのプロセスから、より良いUIUXデザインのヒントを探ります。

手軽に遠隔監視システムを構築できる検知アプリ「AlterMo」とは

 「AlterMo(オルタモ)」は弊社が開発したAndroid用のアプリケーションです。インストールすることで、スマートフォンのカメラを手軽に監視したり、見守りツールとして活用したりすることが可能です。ユーザーは画面に線を描くことができ、その線に触れたものを検知・判別し、その情報を外部に送信してお知らせします。さらに検知したい対象は、「動体検知」と「色検知」を使用し、目的に応じた対象物の監視や見守りに役立ちます。

 特徴的なのは、ユーザーがトリガーとなる線を引いて監視することです。その線に触れる対象をリアルタイムで監視し、描かれた線に触れる(重なる)対象の動きや色を検知すると、Webhook機能で連携したSlackなどの外部サービスを通じて即時に通知。Android スマートフォンを使用し、シンプルな操作で手軽に遠隔監視システムを構築できる新感覚の検知アプリです。

制作に至った経緯と狙い

 アプリ開発のきっかけは、山梨県の某選果場から現場で起きている課題に関する相談を受けたことでした。現状のシステムではトマトの選果作業が効率的に行えず、人件費などのコストが必要以上にかかってしまうという課題を解決できる方法はないかという相談でした。

課題:選果されたトマトが選果機から溢れてしまっても、それをすべて目視で確認して人の手で機械の停止ボタンを押すという手間がかかってしまう。

 選果機自体を最新のものに入れ替えることで解決することも可能でしたが、それには莫大な費用がかかります。そこで現状の機器と連携し、手軽に解決する方法を模索しました。その結果、スマートフォンで選果状況を監視し、トマトが溢れ出たことを判別。装置の停止ボタンを押す「スイッチボット」と連携するIoTシステムを考案しました。

 その後、ほかのさまざまな企業や自治体からも要望をいただき、そこからさらに汎用性を高め発展させ、「AlterMo」アプリの開発へとつながっていきました。

Lean Startupで開発する

 開発中には、映像を正確に分析する技術をスマートフォンアプリに組み込むことが課題のひとつでした。これは技術的な難しさに加え、ユーザーが容易に使用できるようにするための工夫が必要ですし、そもそも市場や社会のニーズに合うかどうかといった懸念もありました。

 そこで開発に常に取り入れたのは、「Lean Startup」の考えかたです。スタートアップのビジネスモデルを可視化するためのフレームワーク「Lean Canvas」で、プロジェクトの基本的な構想を整理しています。これにより、サービスの主要な要素を「プロダクトの骨太の方針」で明確にし、設計、開発、検証、改修を短いサイクルで実施。高品質なアプリを制作することを目指します。

 具体的には、Lean Canvasをもとにサービスの特徴を明確にし、最⼩限の機能を持つ製品(MVP:Minimum Viable Product)を開発。その後に改善を加えていくアプローチをとりました。そうすることで、低コストかつ短期間で必要最低限の機能を備えたアプリを開発したあと、実際にユーザーに使ってもらい検証。そこから学びを得るというサイクルを繰り返すことで、画期的なサービスを開発することが可能です。

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