VRやメタバース文化には興味はあるものの、実際にどうやって始めたら良いのか、疑問を持ちながら、なんとなく最初の一歩を踏み出せずにいるクリエイターも多いと思います。現状、VR/メタバースプラットフォームは多岐にわたり、小さなコミュニティがあちこちに散在していることもあり、その実情が見えづらいと感じるかもしれません。
今回は、数あるVRコミュニティ内で活動するクリエイターにフォーカス。どのように踏み出しスキルを得ていったのか、どのような活躍の場があるのか――。そんな実態を、インタビューを通して紹介していきたいと思います。
N-JELLYさんとTorazoさんの紹介
今回お話を聞くのは、VRプラットフォーム「Resonite」で創作活動をしているN-JELLYさんとTorazoさん。
N-JELLYさん
昔からものづくりが好きで、絵や音楽、プログラミングまで、オールマイティな創作をされてきたN-JELLY(@NJELLY1)さん。大学時代には、3Dプリントなどのデジタルファブリケーションの分野に関心を持つようになります。
Torazoさん
もともと美術大学で油絵を学んでいたTorazo(@torazo_vr)さんは、VRでの絵画表現に関心をもち、Resoniteをはじめとするさまざまなツールやプラットフォームで制作に取り組んできました。また、参加したVR体験アート作品では映画祭出品コーディネートを率先して行うなど、創作コミュニティの活性化にも力を注いでいます。
Resoniteの特徴は「創作ハードルの低さ」と「みんなで創れる」こと
――まずはVRに興味を持ったきっかけを教えてください。
N-JELLY 昔からものづくりが好きでした。絵も音楽も小説も作るし、プログラミングもする。文理横断の気質で、大学時代には3Dプリントのようなデジタルファブリケーションに取り組むようになりました。頭の中の想像をかたちにできたり、空間に入ればその場ですぐに創作をスタートできたりするResoniteは、自分にとって理想な空間。気が付けば毎日入り込むようになっていました。丸一日夢中になっていた時期もあったくらいです。
Torazo SNSで、バーチャル空間内でVRライブペインティングを行っている動画を見かけ、興味を持ったことがきっかけです。もともと絵を描いていたこともあり、まるで魔法のような新しい絵画のアプローチに惹かれ、気づけばパソコンとVRヘッドセットを購入していました。最初のころは「TiltBrush」というVRペイントソフトを使ってひとりで絵を描いていたのですが、ツールを教え合うコミュニティに参加して知り合いの輪が広がったり、VRプラットフォームのイベントに向けて皆で作品を制作したりするうちに、徐々にコミュニティに溶け込んでいきました。
――有名なVRプラットフォームといえば「VRChat」を思い浮かべる人も多いと思いますが、「Resonite」にはどのような特徴がありますか?
N-JELLY ほかのプラットフォームと比べ、圧倒的に「モノを作る」というハードルが低い場所だと感じています。このアイテムをこう変えたいなと思って触っているうちに、いつの間にか作り手側に回ってしまう。集まって遊んでいるうちに、みんながクリエイターになってしまうイメージです。
最初から空間内にモデリングやペイントのツールが準備されているため外部のソフトを介する必要がないこと。みんながいる同じ空間で一緒に作ることができるため、使いかたがわからなければその場で周りの人が教えてくれる。そんな特徴が、ハードルを低くしている理由だと思っています。
Torazo 私もさまざまなVRプラットフォームを巡ってきましたが、それぞれのカラーや特色があります。そんななかでResoniteは、「人と一緒に、かつ同じ場所でものを作る環境が、圧倒的に生まれやすいこと」だと思っています。「みんなで行う創作」は、ひとりで絵を描くのとはまったく異なる、今までにない体験でした。建築やデジタルファブリケーションなど違うスキルと知見をもった人が集まることによって生まれる化学変化や、「こういうものを作りたい」と口に出したら、得意な人がやってき教えてくれたりもします。