「ゆらゆら踊る」かつお節の魅力を伝えたい──美大出身、ヤマキのプロジェクト担当者に聞く

「ゆらゆら踊る」かつお節の魅力を伝えたい──美大出身、ヤマキのプロジェクト担当者に聞く
2020/01/14 08:00

 日本の食文化には欠かせない調味料、かつお節。食品メーカーとしては、あまりにも定番であるがゆえに、なかなか従来の商品と明確に差別化できる新商品を打ち出すのが難しいという側面もある。そんな中、大正6年創業の老舗・ヤマキが2019年8月に発売したのが、温かい料理にかけたときに通常のかつお節よりも“よく踊る(動く)”ことを追求した「踊る!かつお節」だ。そのコンセプトやパッケージデザイン、プロモーションなどを中心となって手がけた、同社家庭用事業部の升澤朋子さんに話を聞いた。

かつお節が踊る楽しさを、再発見してもらうために

 かつお節をかける料理といえば、お好み焼きを思い浮かべる人も多いのではないだろうか。ヤマキでは以前「お好み焼き花かつお」という商品を販売していた。しかし、お好み焼き用のイメージが強すぎると、それ以外の料理に使われにくいといった課題もあり、伸び悩んでいたという。

 「かつお節はお好み焼きに限らず、アツアツの料理にかけると踊りますよね。そこにフォーカスしてリブランディングし、新商品として立ち上げたのが『踊る!かつお節』です」と、升澤さんは説明する。

「コモディティ化しているかつお節という商品で差別化を図るには、強力な個性や付加価値を打ち出す必要があります。かつお節が『踊る』ことは皆さん知っているけれど、普段あまり意識することはありません。どんなかつお節よりも『踊る』を追求することで、食べておいしく見た目にも楽しいというかつお節の魅力を再発見してもらいたい、それが、ほかにはない価値につながるのではないかと考えました」

ヤマキ株式会社 家庭用事業部 升澤朋子さん
ヤマキ株式会社 家庭用事業部 升澤朋子さん

 コンセプトは「ヤマキ史上、最も踊るかつお節」。もちろん、見せかたや売りかたを変えるだけではなく、商品そのものも最もよく踊る形状となるように、愛媛本社のラボで専門のスタッフが検証を重ね、最適な「幅」と「厚み」を導き出したという。

当初はボツになりかけたキャラクターが各所で活きる

 パッケージデザインをはじめとしたクリエイティブワークでも、升澤さんは徹底して「踊る」ことを全面的に訴求している。たとえば、キャッチコピーには「ゆらゆらNo.1」というユニークなフレーズを採用。商品名の「踊る!」だけでは実際にどう踊るのかパッと想起できないかもしれないが、この言葉によって、かつお節らしい独特のゆらゆらした動きがよく伝わってくる。

 パッケージデザインのこだわりとして、「とにかく手に取ってもらえるようなインパクトがほしかった」という升澤さんだが、社内関係者と外部デザイナーの間に入って意見をとりまとめ、調整する立場として頭を悩ませることも多かったという。

「デザイナーの方はすごく楽しんでやってくれて、かつおのキャラクターが何匹も入ったデザイン案を最初に提案していただいたのですが、社内ミーティングでボツになってしまったんです。当社の商品はパッケージも昔ながらでベーシックなデザインが多く、それらを見慣れている者からすると、なかなか判断しづらいだろうというのが正直なところでした。それをデザイナーさんにフィードバックしたところ、『せっかく個性的な商品なのだから、このキャラクターを活かすべきです』と逆に説得されまして……。なんとか調整と検討を重ね、最終的には既存の売り場になじみつつもインパクトがあり、キャラクターも目立つけれど主張しすぎないという、現在のデザインに落とし込むことができました」

 結果的に、このとき採用されたかつおのキャラクターは、後々さまざまなプロモーションで重宝されることになった。「踊る!かつお節」のキャンペーン特設サイトでも、かつおがピョコピョコと跳ねるような動きのGIFアニメーションが随所に使われている。

「特設サイトの制作を依頼した代理店の方が興味を持ったようで、『コイツでGIFアニメを作ってみましょう』と提案していただきました。このキャラクターのおかげで何か楽しいことをやりたいという空気感が生まれ、それがどんどんおもしろいアウトプットにつながっていった感覚はありますね。サイトを見にきてくれた生活者からも『キャラクターの動きがおもしろくて、最後まで読んじゃいました』など、ありがたいコメントをいただいています」

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