コーポレートブランド確立に効果的な方法とは コーポレートサイトリニューアルの裏側を公開

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部署間の連携を強化するために「スクラム運用」を採用

 今回のプロジェクトでは、アジャイル開発で用いられる開発手法として「スクラム」を活用しました。しかし、馴染みのないメンバーも多かったため、まずはスクラム運用に対する理解を深められるよう、運用方法の特徴やメリット・デメリットについてキックオフでレクチャーを行いました。

 スクラム運用では「計画→実行→レビュー→振り返り」のプロセスを短い期間(スプリント)に区切って反復します。プロジェクトの状況や進捗に応じて各スプリントで最適な計画の立案・調整を行うため、常に各々のタスクや優先度が明確になり、進捗の不透明さやリソースの逼迫を避けることができます。メンバー全員で共通のゴールを持ち、各々がやるべきことに集中しやすくなるため、複数の部署が絡んだ長期的な取り組みながらも、常にメンバー全員の目線を合わせて進行することができました。

 部署間の連携においてもっとも重要だと考えているのは「お互いをリスペクトしながらコミュニケーションをとること」です。デザイナー、採用・人事、広報とまったく職域が異なるメンバーが集まっているからこそ1人ひとりの存在意義はとても大きいですし、ひとりでも欠けてしまってはプロジェクトは成功しません。なかには、普段の業務では関わることがないメンバーもいるため、お互いの業務内容だけではなく、その人が持つ価値観や目指している先をプロジェクトを通じて理解し合うことは、非常にポジティブなことだと思います。

 今回のプロジェクトでは「KPT法」という振り返りのフレームワークを用いて、メンバーへ感謝したいことやメンバーの良かったところなどをシェアできる会議体も設けるようにしました。お互いが感じたことを直接伝え合うことでモチベーションアップにつながり、プロジェクト全体の士気も高まったと感じています。

 一方、プロジェクト進行における課題や不満といったネガティブな要素も共有するようにしていました。何が原因なのか、本来はどうあるべきなのかをメンバー同士で意見を出し合うことで、その後のプロジェクト進行における改善点が明確になります。このようにプロジェクトメンバー全員でプロセスをアップデートしながら、成果を最大化していくことを心がけました。

 今回のコーポレートサイトリニューアルは、複数の部署を巻き込んだ取り組みとして、非常に良い事例となりました。共通のゴールに向かい、部署の垣根を超えてお互いの得意領域をかけ合わせながら達成していく――。このプロセスは、今後のプロジェクト進行においてベースとなるやりかたです。今後、デザイン組織の担当領域が拡大していくなかでも、本事例をモデルケースとして、それぞれのデザイナーが中心となってプロジェクトを推進していくこともできるはずです。これからも部署や職域を超えて、より大きな成果をメンバー全員で追い求めていけるよう、デザイン組織として主体性を持ち、プロジェクトに取り組んでいきたいと思います。

 次回は、採用ブランディングにおける採用サイトリニューアルや採用施策の推進について、どのようなコンテンツを通じて候補者体験を設計したのか、具体的な取り組みを紹介します。