コーポレートブランド確立に効果的な方法とは コーポレートサイトリニューアルの裏側を公開

コーポレートブランド確立に効果的な方法とは コーポレートサイトリニューアルの裏側を公開
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 統合コマースプラットフォーム「ecforce」の開発・提供を中心としたSaaS事業と、自社D2C事業を展開する株式会社SUPER STUDIO。同社のデザイン組織は、主要のSaaSプロダクトである「ecforce」以外にも、バックオフィス領域まで幅広い業務に携わっています。第2回となる今回は「コーポレートブランディング」の取り組みについて、株式会社SUPER STUDIOカスタマーエクスペリエンス室ブランドデザインユニットのマネージャー森藍さんがお届けします。

 こんにちは、SUPER STUDIOの森です。SUPER STUDIOのデザイン組織であるカスタマーエクスペリエンス室のブランドデザインユニットマネージャーとして、自社D2Cブランドやコーポレート領域におけるプロジェクトマネジメント、フロントエンド開発、デザイン組織のマネジメント業務を担当しています。

 前回は、私たちデザイン組織がコーポレートブランディングや採用ブランディングまで業務を拡張させた狙いと背景についてお伝えしました。今回は「コーポレートブランド確立におけるコーポレートサイトリニューアル」に焦点を当て、デザイン組織としてどのようにプロジェクトを推進したのかなど、具体的な取り組みを紹介します。

コーポレートブランドの可視化とアセット化

 2023年4月、私たちデザイン組織は採用・人事、広報のメンバーとともにプロジェクトを立ち上げ、コーポレートブランドの確立に向けた取り組みを開始しました。当時、組織の実態やカルチャーを外部の方へ上手く伝えきれていないという課題があり、それが採用活動にも影響していました。採用候補者を含むあらゆる外部の方にSUPER STUDIOの事業や組織、カルチャーについてきちんと理解してもらえるような状態にするべく、デザイン組織、採用・人事、広報の3部署間でディスカッションを実施しました。

 その結果、まずはベースとなるコーポレートブランドを明確にし、それをもとにコーポレートサイトをリニューアル。その後、採用サイトの刷新や採用体験の設計、施策を強化するという順序でプロジェクトを進行していくこととなりました。

 そのなかでデザイン組織は、全体のプロジェクト推進や制作面をリード。プロジェクト発足後はデザイン組織、採用・人事、広報のメンバーでキックオフを行い、プロジェクトの進行フローやそれぞれの役割などを丁寧に擦り合わせました。

 プロジェクト始動後は、デザイン組織の室長である渕上を中心に、コーポレートサイトリニューアルのロードマップを作成。SUPER STUDIOの事業や組織、カルチャーを浸透させるためには、どのようなキーワード・価値観をデザインやコンテンツに落とし込むのか。また、“SUPER STUDIOらしさ”をどのように言語化し、ビジュアル化していくのか。プロジェクトのゴールから逆算して必要なプロセスを1つひとつ洗い出していきました。

コーポレートサイトリニューアルのプロジェクトロードマップ
コーポレートサイトリニューアルのプロジェクトロードマップ

 次に、「SUPER STUDIOとは何か」を明確かつ視覚的に伝えられるよう、改めてコーポレートブランドを可視化し、アセット化していきました。その前段として、SUPER STUDIOとして伝えたいメッセージを整理し、そこから自分たちのパーソナリティを表すキーワードを抽出していきました。「慎重さ」や「冷静さ」、「誠実さ」というキーワードが出る一方、「情熱」や「人のよさ」といった相対するように見えるキーワードも多く挙がりました。

 SUPER STUDIOは、「何をやるかより、誰とやるか」という信念のもと立ち上がった会社で、創業当時から「どんな人と一緒に仕事をしたいか」を非常に大切にしています。メンバー全員が情熱を持ってワクワクしながら仕事を楽しむこと、コミュニケーションをとることの重要性や互いの信頼関係、そして相手を敬うことを大切にしていたため、「情熱」や「人」といったキーワードを核に据えることを決まりました。

 その後「ムードボード」というデザインラフを作成し、「情熱」や「人」のキーワードに関連したイメージ画像を並べながら、SUPER STUDIOらしさが感じられるものとそうでないものに分類。「人×情熱」というキーワードのイメージが強すぎると、SUPER STUDIOの持つ「慎重さ」や「冷静さ」、「誠実さ」が損なわれてしまうなどさまざまな議論がなされました。イメージは個人の感覚に依存する部分が大きいため、ズレが生じないよう、各々のメンバーが核となるキーワードに抱くイメージ、それを取り巻く要素を擦り合わせながら、“SUPER STUDIOらしさ”が感じられるデザインを模索していきました。

 こうしてムードボードに並べたイメージから連想されるキーワードをさらに深堀っていったところ、これまで言語化できていなかった要素が洗い出され、「SUPER STUDIOとは何か」という共通認識をメンバー全員で持つことができました。このキーワードをもとにしながら、SUPER STUDIOとして伝えたいメッセージの方向性を定めました。

 このタイミングで、カラースキームなどのデザイントークンもこまかく定義しました。実は、コーポレートサイトリニューアル前に実施したアンケートで、「コーポレートサイトではクールな印象だったが、実際はもっと親しみやすく感じた」という声が多かったため、配色のアップデートは必須だと考えていました。

 以前のコーポレートサイトは白と黒のモノトーンを基調としていましたが、リニューアル後のサイトでは青を基調とした配色に変えています。「情熱」というと一般的には赤やオレンジを連想しますが、青い炎のほうが実は温度が高いことをご存知の方も多いのではないでしょうか。SUPER STUDIOの持つ「情熱」と「冷静さ」。この表裏一体を表現するのは「青い炎」と捉え、青を中心にカラースキームを設計していきました。今回、青を基調としたカラースキームに刷新したことにより、冷静さや慎重さを表現しながらも、根底にある情熱を感じられるコーポレートサイトになったと思っています。