こんにちは!Cosmowayが組織するデジタルプロダクション「factory4」のUI/UXデザイナー新谷です。
昨今、「サステナブル」「エコ」と「デザイン」を結びつける言葉を耳にする機会が増えてきました。環境への配慮が企業の経営やブランド価値に直結するようになり、デザインの現場でもその重要性が高まっています。サステナブルデザインとUXはどのように組み合わせるのが良いのでしょうか。そして、どう実践するべきなのでしょうか。今回は、その答えを探ってみました。
サステナブルデザインの本質的な意味と現代的文脈
まず、ここ数年で否が応でも目にしたり耳にしたりする機会が増えた「サステナブルデザイン」とは何かを定義しましょう。
多くの人が「環境にやさしい」といった抽象的なイメージを抱くかもしれませんが、実はサステナブルデザインは非常に奥深い領域ではないかと思います。その言葉どおり、意味は「持続可能な方法で設計されたもの」。環境に負荷をかけず、リソースを無駄にせず、社会的な責任を果たしながらも利用者にとって価値のある体験を提供することが目的です。
この観点から、UXデザインにおけるサステナビリティとは、単にエコフレンドリーであることだけではありません。たとえば、製品やサービスを提供する過程でどれだけ無駄を減らせるか、ユーザーがどれだけ効率的に利用できるかといった観点も含まれます。
サステナブルデザインは、物理的な製品に限らず、デジタルの世界でもその考えかたが適用されるべきなのでしょうか。また、それらはどのように最適化していけば良いのでしょうか。
UI/UXデザインとサステナビリティの本質的な結びつき
サステナブルデザインは、環境保護という狭義の概念をはるかに超えた包括的な思想です。UI/UXデザインの領域におけるこの考えかたは、「デジタル製品とサービスが人間社会と地球環境にどのように貢献できるかを探求する、壮大な知的旅路」かもしれません。いっけん無関係に思えても「UI/UXデザイン」と「サステナビリティ」は深い関連性を持っているのです。
- 人間中心のアプローチ
- システム全体への総体的な視点
- 長期的な影響の考慮
- 資源の最適化
- 社会的包摂性
「UI/UXデザイン」と「サステナビリティ」のふたつは、本質的に重要な価値を共有しているように思います。
デジタル世界におけるサステナビリティの多層的展開
1.エネルギー効率と認知的負荷の最小化
現代のUI/UXデザインにおけるサステナビリティは、単なるグリーンテクノロジーの採用以上の意味を持ち、ユーザーの物理的・認知的リソースを最適化することにつながります。たとえば、今や当たり前になっているGoogleの検索インターフェースは、この概念を卓越したレベルで実践した例と言えるでしょう。シンプルで直感的な設計は、ユーザーの情報探索エネルギーを劇的に削減し、効率的なデジタル体験を実現しています。
2. デジタル包摂性とアクセシビリティの追求
サステナブルデザインの本質のひとつは「多様性を包摂し、誰もが平等にデジタル体験にアクセスできる環境を創出すること」です。それらに寄与しているのが、AppleのヒューマンインターフェイスガイドラインやGoogleのマテリアルデザインなど。Microsoftのインクルーシブデザインツールキットも、この理念を具現化する代表的な概念やツールの事例のひとつです。
- 障害のある人々のニーズを中心に据えたデザイン
- スクリーンリーダーの高度な最適化
- ユニバーサルな操作体系の構築
- 感覚的/認知的多様性への配慮
3. 感情的サステナビリティの探求
デジタル体験における持続可能性は、技術的効率だけでなく、ユーザーとの情緒的なつながりも重要です。以下に、感情的サステナビリティの構成要素をまとめてみました。
共感的デザイン
- ユーザーの感情状態を理解し、応答するインターフェース
- 個人の文脈や心理的ニーズへの繊細な配慮
- 温かみのある、人間的なインタラクション
心理的レジリエンス
- ストレスを軽減し、ポジティブな感情を促進するデザイン
- デジタル疲労との戦い
- メンタルヘルスを支援する機能的要素
個人的成長の触媒
- ユーザーの潜在能力を引き出すインターフェース
- 学習と自己改善を促進する仕掛け
- モチベーションと自己効力感を高めるデザイン
「長期的に愛用されるインターフェース」「情緒的共鳴を生み出すデザイン」こそ、サステナブルなデザインです。単に機能を提供するだけではなく、ユーザーとテクノロジーの間に深い情緒的な絆を紡ぎ、ユーザーの内面的な物語に寄り添い、共感し、成長を支援することができます。