父の他界を機に芽生えた「ペイン解決」への思い
――まずはご経歴からお聞かせください。
大学ではインダストリアルデザインを学んでいたのですが、受託のウェブ制作会社に就職し、クリエイティブチームのリーダーふくめ5~6年ほどつとめました。
30歳のときに、サービスやデザインにもっと踏み込みたいという思いから事業会社に転職しようと思い、BtoBtoCのモデルであるRettyにジョインします。受託制作のときから同僚や友人とスタートアップの立ち上げをいくつか経験していたのですが、「サービスを作っていく過程」が好きだったんです。もっと自分ごと化できるサービスに携わりたいと思ったのが、Rettyに加わった理由です。入社したのは2018年ごろで、そこから4年弱勤務。私にとって初めてのスタートアップでした。
そのときにデザイナーだけでなくPdMのような役割も担っており、toB(店舗)側の管理画面づくりや、予約数を紐づけたりするシステム、従量課金の制度づくりなども行っていました。ちょうどそのころ、新卒時代からの同僚が、「デザイナーがいないから手伝ってほしい」と声をかけてもらったのが、ログラスに関わるようになったきっかけです。
私はログラス創業から1年後の2020年ごろから携わり始めました。1年ほどの副業期間を経て正式に入社したのは、2021年の10月です。
――副業ではなく社員としてジョインを決めたのには、どのような背景があったのですか?
かなり個人的な話にはなるのですが、Rettyに在籍していたときに父が他界したことが大きいです。すい臓がんで治らないと言われていたのですが、父が亡くなったときに「自分は何も自分ができなかった」という感覚になりました。いろいろなデザインを学んできて、自分なりにできることを頑張ったものの、結局何もできなかったというか……。そこから、よりペインがある領域を解決したいと思うようになりました。
なかでもログラスに惹かれたのは「レバレッジがきくこと」です。経営における課題や抱えている課題は本当にたくさんあり、利益構造が可視化できないまま手探りで経営しなければならない状態が多くありますが、Loglassは医療をはじめ、あらゆる領域に導入することができるプロダクト。さまざまな会社の課題を、Loglassで広く解決できれば、間接的に社会の貢献に携われると思いました。Loglassがあらゆる企業に導入される世界をイメージしたときに、すごくワクワクできたんです。自身も経営企画に携わっていた代表の布川も、経営の領域に対するペインへ熱い思いがあったことから、この課題を紐解くのはとても意義深いことなのだろうと感じました。
私はまだ社員が10人ほどのときにひとりめデザイナーとして入社しましたが、かなり初期の段階からデザイナーを採用するという投資を会社ができたのは、代表の布川が「経営管理の領域に“ちゃんと”体験をつくりにいく」と考えていたことが大きいと思います。副業でログラスに関わり、経営管理の知識はゼロの状態で調べるなかでわかったのは、とてもレガシーな領域で、UIもとにかく古いということ。経営企画の領域に「デザイン」や「良い体験を提供する」という考えかたがほとんどなかったんですよね。その考えを取り入れることを布川が意識していたからこそ、デザイナーの採用や、体験をより良くすることに投資できたのだと思います。