カギは「人格の宣言」 失敗から学んだマネージャーの心得とデザイン組織づくりを、ログラス高瀬さんが語る

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2025/02/07 08:00

半年は上手くいかなかった「採用」 流れが変わったきっかけとは

――デザイン組織を立ち上げるに至った背景や解決したかった課題について教えてください。

初日から次のデザイナーの採用がミッションだったのですが、基本的にはあまり採用が上手くいきませんでした。当時社員は10人ほどのアーリーシード期で、会社としてもほぼ無名に近い状態。僕も、組織づくりや採用の経験ないなかでの挑戦だったのですが、半年ほどはまったく成果がでなかったんです。しっかり考え始めるようになったのは、そこからですね。その失敗をきっかけに、なぜ自分がデザイン組織を立ち上げなければいけないのかなどを改めて見つめ直したことで、視座が変わったんです。

当時僕は、数年後には20名~30名フェーズの組織を目指さなければならないと思いました。なぜなら「ログラスはもっと大きくなる」という感覚があったからです。そのためにも、ログラスが良い体験やデザインのアウトプットを永続的に出すための組織を作らなければいけない――。そう思い至りました。

そうやってサービスが広がっていくことを見据え、それに対応できる理想的なデザイン組織を目指していきたいと考えたため、次にデザイナーが加わることを見据え、僕ひとりしかデザイナーは在籍していないなかでも「デザイン組織」と銘打って、PRをしていきました。

そのためにまずは、どのような組織を作らなければいけないのか、そのためにはどのようなスケジュールで進めていくべきかを考えました。そのなかで選んだのは、あまり会社の認知度がなかったことから、スカウトを送ってカジュアル面談で1人ひとりと話していくやりかたです。そのなかで、つくるべきデザイン組織の形や、現在のプロダクトの課題を明文化し、候補者さんとディスカッションすることを意識していました。そこから興味を持ってもらえる機会が増えていったように思います。

チームの人数は、僕ひとりだった時期が1年弱、その後プロダクトとブランディングをそれぞれ担うふたりが一気に加わり3名になりました。そこから半年ほどで5人体制になり、現在は約12人のデザイナーがチームに所属しています。

5人のときは、基本的にブランド側もプロダクト側も横軸でつながっていましたが、9人くらいになったときに、ミーティングの効率や話題の質にばらつきが出始めてきたため、プロダクトとブランドでチームを分けて、定例会議も行うように。ただ、採用は共通で行っています。

「今までの施策が上手く機能しない」 その打開策とは

――各フェーズで、意識していたことに違いはありますか?

それぞれ心がけていたことは大きく変わりましたが、基本的に僕が一貫して意識しているのは「権限委譲」、つまり「属人可させないこと」です。しかし以前は、初期のリーダーやマネージャーにありがちな、自分でやりすぎてしまうことが多々ありました。そこで頻繁に合宿を行ったり、権限移譲のワークショップをカスタマイズして「渡せるタスク」「渡していきたいタスク」「渡せないもの」などを分類していったりしましたね。できる限りみんなにボールを渡し、1人ひとりが自律して動いていける組織を目指しました。そのやりかたは、5人フェーズまでは上手く機能していたのですが、9~10人に増えたときに大きく変わります。

シンプルに人が増えていますし、取り組みも多岐にわたっていたため、ミーティングが上手く進まなかったり、任せていたOKRも上手くいかないことが増えたり、僕がただのチェック要員になってしまったり……。とてもジレンマを感じていました。

そういった状況を打開するべく、なぜそういった状態に陥ったのかを振り返ってみました。すると、私は「成果を最大化させるのがマネージャーの役割」という目線でOKRやプロジェクトの進捗をチェックしていたものの、そもそも成果として出てくるアウトプットの質そのものに、メンバーと認識の齟齬があることがわかった。その期待値調整を事前にやるべきだったという反省があがりました。あとはオーナーシップを明確にすること。それらを意識したところ、少しずつ上手くいくようになりましたね。