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そもそも「面白いアイディア」は必要か
いきなりですが面白さとは、主観的で定性的で100人いれば100の違う正解が生まれるものですよね。そんな感覚的で不確かなものが、数字でわかるような確実な効果が求められる企業の広告コミュニケーションにそもそも必要なのでしょうか。
「自己実現をマーケティング目的の広告表現でやろうなんておこがましい」
「面白い表現や作品が作りたければ自己資金で週末にでもやればいい」
「それってクリエイターのエゴじゃないの?」
ちょっと辛辣な意見ではありますが、企業の宣伝やマーケティング担当の方とこんな議論をすることもあります。
では逆に「面白さのないアイディア」だとどうなるのか。
これは言わずもがな、誰の興味もかき立てず注目もされずスルーされてしまうことがほとんどなのではないでしょうか。YouTubeやNetflixなどの動画サービス、ゲームやSNSなど、私たちの周りにはものすごい量のコンテンツがあり、限りある可処分時間を奪い合っているような状況です。そんな中では、広告だけが特別に視聴者の目に止まるということにはもちろんなりません。
「テレビCMやデジタルコンテンツ、屋外や雑誌・新聞広告であろうと、自分にとって興味のない、役に立たないと感じられる表現はノイズに過ぎない」というのが、広告を受け取る側の本音ではないでしょうか。
だからこそ、広告を目的とした表現には、驚きや共感、興味や納得、時には感動や笑いなど、人々の感情のスイッチを入れ、心を突き動かす「面白いアイディア」がやはり必要であると考えています。
とはいえ、面白さのツボは千差万別であるという事実は揺るぎようがありません。またえてして、表現に重きを置くクリエイターやプランナーの思う面白さと、効果や成果を重視する企業のマーケターの思う面白さがなかなか噛み合わなかったり、お互いが理解できないという状況に陥ることも非常によくあるパターンではないかと思います。
そういった状態にハマってしまうと、せっかくの優れたアイディアの角が取れてしまったり水掛け論に陥りかねません。ここからは5つの視点で、そのアイディアが面白いのかどうかを検証していく方法をお伝えしていきたいと思います。