AIが伴走するGoogle「NotebookLM」の実践的活用とUXデザイン

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NotebookLMで自分のプロフィールをまとめてみた

 NotebookLMは、モバイルアプリとウェブの両方に対応しています。Googleアカウントがあれば、公式サイトにアクセスすることでどちらもすぐに始められます。今回はPCのウェブブラウザから利用しました。

NotebookLMの始めかた

1. ノートブックの作成

ログイン後、「新しいノートブック」または「+新規作成」をクリックしてノートブックを作成します。タイトルは自由に設定できます。

2. 資料(ソース)のアップロード

ノートブック内で「ソース追加」などのボタンから、PDFやテキスト、Googleドキュメント、ウェブページのURL、YouTubeリンク、音声ファイルなどをアップロードします。Googleドライブから直接追加することも可能です。私のインタビュー記事や、紹介サイトなどをいくつかアップロードしました。

AIとのやりとりと情報整理

チャットで質問・要約依頼

アップロードした資料について知りたいことを、チャット欄に入力します。たとえば「この資料の要点を教えて」「この部分を200字で要約して」など自由に質問できます。AIが資料をもとに回答し、引用元も明示されます。

引用元の確認とメモ保存

回答に表示される引用番号をクリックすると、どの資料のどの部分が根拠になっているかを確認できます。回答内容は「メモに保存」ボタンでノートブック内にストックでき、後から見返すことができます。

メモやハイライトの追加

ノートブック内のメモ欄に重要な情報や自分の考えを自由に追加できます。作成したメモを資料(ソース)として再利用することも可能です。足りない要素を補足することで最適化できます。

音声概要の作成

資料の要点をAIが自動で音声化し、ファイルとしてダウンロードすることもできます。情報をただ読むだけでなく、AIと対話しながら「自分の考えを深めていく」体験が特徴です。ここでは私の情報を8つほどアップロードしてポッドキャスト風にまとめてもらいました。数分でこの精度はすごいと思います。ぜひ、聴いてみてください。

UX設計における学びと実践:人間の思考に寄り添うとは

 NotebookLMのUI/UXは、一見ミニマルで無機質な印象を与えますが、その設計思想の根底には「人間の思考にいかに寄り添うか」というテーマがしっかり根を張っているように思います。

文脈を持つAIとの会話

 情報の蓄積とAIの応答が「ノートブック」という概念で行われます。この構造によって、会話や思考が途切れることなく続いていくという感覚が得られます。たとえば、あるプレゼン資料についてAIと交わした意見やそのフィードバックを蓄積していくことで、ユーザーは過去の流れをふまえながら、文脈のある支援を受けることができます。そのため単なる質問応答ではなく「思考の延長線上での対話」が成立するのです。

思考の再構成

 要約・再構成・構造化の機能は、単なる利便性の提供にとどまりません。それらは、ユーザーが自分の思考を外部化し、再編集し、さらに別の視点で再評価するというプロセスを支援しています。これは、UXが単なるツールからパートナーへと進化している象徴とも言えるでしょう。

 AIとのやりとりが思考そのものにフィードバックを与える――。NotebookLMにはそんな体験設計が内在しています。

UXの主体はユーザー側にもある

 インターフェースは非常にシンプルで、搭載されている機能も必要最小限に絞られています。一見すると物足りなさを感じるかもしれませんが、それは余白を残した設計のように思います

 NotebookLMでは文脈の中で「どの資料をどう扱い、どんな問いを立て、どのように整理していくか」という「ユーザー自身の行動」が体験の質を決めるからです。この設計は、「UXは単に設計されたものではなく、ユーザーの行動や習慣のなかで育まれていくものだ」といった考えかたを体現しています。情報にどう向き合うかというプロセスを支援しながら、ユーザーの思考にそっと寄り添うプロダクトになっています。