NTT ComがXRビジネス本格展開、あらゆる活動を非対面で実現へ VRでの英会話学習の有効性を実験

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2020/06/17 07:00

 NTTコミュニケーションズは、VR(仮想現実)を始めとした仮想空間技術XRを活用し、企業、学校などでのあらゆる活動を非対面で仮想的に実現するXRビジネスを本格展開する。

 今回、その一環として、学校での教育活動におけるVR学習の有効性に関して実証実験を行った。京都市の同志社中学校において2020年2月に実地試験を行い、専門家の知見を得ながらその結果を分析したところ、VR学習は従来の学習に比べ、生徒の習熟度が高くなることが今月確認された。

実証実験概要

 同実験は、「Smart Education」やVRを用いた仮想的な実地研修など、同社がこれまで培った経験・ノウハウを活かし、より実体験に近いコミュニケーションをVRで提供することで、教育活動におけるVRの有効性を実証するもの。

 同志社中学校の協力のもと、生徒を12名ずつ2つのグループに分け、入国審査やレストランでの注文など、留学や海外旅行で必要となる英会話の学習を行った。

 一方のグループはスクリプトと音声教材による従来の方法で学習し、もう一方のグループは、VRを活用し現実さながらのコミュニケーションを体験した。その後、それぞれのグループの生徒に対し理解度テストを実施。ネイティブスピーカーと英語教諭が、習熟度を5項目で評価することで、グループ間の習熟状況の差異を比較した。

実験イメージ

実験イメージ

実験イメージ
実験イメージ

 同実験の結果、VR学習を行ったグループは、従来の方法で学習したグループに比べ、「レスポンス」、「発音」、「正確性」、「理解力」の4項目で、スコアを上回っていることが確認された。特に「正確性」では約10%向上していたという。

採点項目
採点項目

 また、今回VR学習を体験した生徒を対象にアンケート調査を行ったところ、約74%の生徒が「VRによる学習方法は効果がある」と回答。その理由として「本当にそこに外国の方がいるようで、理解度テストではあまり緊張しなかった」などの声が挙がっており、VRで疑似体験をすることで、テストでも落ち着いて対応できることが効果として挙げられた。

 同実験の結果、教育とVRとの親和性が高いことが判明したため、同社では今後学校教育にとどまらず、医療や観光業など、さまざまな産業分野の教育・研修活動におけるVRの活用を積極的に進めていくとのこと。