データマーケティングエージェンシーのGlossom(グロッサム)は、企業のデータ活用を促進するための研究機関「Glossomデータインサイトラボ」を設立。その第1段の取り組みとして、スマートフォンユーザーの情報収集動向を時系列に分析する「スマートフォンでの情報収集に関する定点調査」を実施した。
同調査は、SNSやサーチエンジン、メディア、動画サービスの利用率や利用時間を性別年代情報と掛け合わせることで、現状の動向やスマートフォンユーザーの意識の変化をとらえることを目的とし、2019年より実施。スマートフォンユーザーの情報収集スタイルを経年で調査することにより、社会動向を見える化し、年代による意識の変化や新たなサービスの浸透度合いなどさまざまな視点から得られたインサイトが、データ活用を考えるきっかけとなることを期待しているという。
同調査結果の詳細は、次のとおり。
スマートフォン利用時間、分類別利用時間と利用率
情報収集におけるスマートフォンの1日平均利用時間は2019年の「112.1分」から2020年は「126.6分」と13.0%増に。さらにサービスをSNS、サーチエンジン、メディアに分類し、利用実態を調査すると、利用率はいずれも75%超えと高い結果だった。利用時間を調査すると、SNSの利用時間増加が顕著で、2019年比で26.9%増、1日平均利用時間が「67.1分」と3分類の中でもっとも長かった。
SNSのなかでも、特にYouTub無料が利用時間増をけん引し、YouTubeの利用時間は「16.0分」(2019年)から「27.8分」(2020年)と73.3%増加した。また利用率は50.7%(2019年)から56.3%(2020年)と11.1%増。動画による情報収集が拡大していることがわかった。
YouTube、TikTok、Facebook、Twitter、Instagram年代別利用実態
SNS利用者の総利用時間は増加傾向であるも、若年層のSNS利用率が低下していることが明らかになった。10代においては、Facebookが15.0%、Twitterが10.7%低下し、“個人の関係性にもとづく”SNSの利用率が低下した。
一方で、YouTubeやTikTok、Instagramの利用率が増加し、なかでもInstagramの利用率は全年代で平均19.0%増加しており、一般的なSNSとして浸透してきていることが明らかになった。さらに10代の利用実態を見ると、YouTube利用時間は22.3分増と2倍に増加しており、若年層ほど動画サービスの利用が進んでいることがわかった。
企業がSNSで発信する情報への反応
SNSのタイムライン(フィード)上で、自分がフォローしている企業やブランドが発信する情報と、友達がシェアした企業の情報、企業広告への反応を調査すると、いずれも若年層ほど「ほぼすべて見る」「少しでも興味があるものは見る」と回答し、反応度合いが高かった。また若年層の方が、「自分でフォロー」「友達がシェア」と、「企業広告」への反応度合いの差が大きく、特に女性で顕著だった。
新型コロナウイルスによる生活の変化の影響
メディアの利用動向では、全年代で、総合ニュース系メディア(Yahoo!ニュースやSmartNewsなど)や、映画・ドラマ・エンタメ系メディアの利用率が上昇した。
目立った傾向としては、30代女性の美容・ファッション系メディア利用率の減少で、2019年の21.4%から6割減し、7.8%だった。また利用率だけでなく、利用者の1日平均利用時間も約2割(17.6%)減少し、新型コロナウイルス対策のための外出自粛やテレワークの影響で、美容やファッションに対する関心の薄れが明らかとなった。
サブスクリプション型動画サービス利用率・年代別利用実態
同調査では、新たにサブスクリプション型動画サービスの利用に関する質問を追加した。利用率は、サブスクリプション型動画サービス全体で42.9%。特に若年層の利用率が高く、10代の利用率は66.0%と顕著に。利用時間は20代がもっとも長く、若年層を中心にスマートフォンでの動画閲覧が一般化していることが判明した。
主要なサブスクリプション型動画サービスの利用動向は、ABEMAは10代女性(36.9%)、NETFLIXは20代女性(18.4%)、Amazonプライム・ビデオは10〜30代男性の利用が多かった。年代・性別で利用率の差が見られ、それぞれのユーザー層に支持されるコンテンツの有無が、利用率の差の要因のひとつと考えられる。
調査概要
- 調査対象:日本全国に在住のスマートフォンを所有する10代~70代の男女
- 回答者数:2020年調査…1,442名、2019年調査…2,060名
- 調査方法:インターネットによるアンケート調査
- 調査時期:2020年調査…2020年6月11日(木)~6月13日(土)、2019年調査…2019年5月31日(金)~6月3日(月)
- 標本構成:男性721名、女性721名(10代から70代まで各103人)