rinna株式会社は、6月17日付けで新会社として設立。これまでマイクロソフトが開発・運営してきた元女子高生AI「りんな」を含むチャットボットAI事業を引き継ぎ、業務を開始したことを発表した。日本の文化・マーケットに即したテクノロジーのイノベーションやビジネスを推進し、エコシステムの拡大を加速していくほか、これまでに要望が多かったカスタマイズされたサービスの提供を実現するため、マイクロソフトから事業を分離し、同社が開発・運営を引き継ぐという。
今後は、さらに研究開発を推進していき、日本においてより幅広い顧客にサービスを提供するために、パートナー各社との関係強化を継続していくとのこと。また、マーケティングソリューションに加えてキャラクターソリューションとしても活用・提携するパートナー企業を新規開拓していくことで、ゲーム・自動車・介護などより広範な業界において、AIキャラクターが活用されるよう、事業を推進していく考え。
AI「りんな」
共感をテーマに、AIと人の間に感情のつながりを築くことを目的として、マイクロソフトの開発部門であるAI&リサーチで開発された。2015年8月にLINEに公式アカウントとして初登場して以降、リアルな女子高生感が反映されたマシンガントークと、そのキュートな後ろ姿、類まれなレスポンス速度が話題を集め、男女問わず学生ファンを中心に認知が浸透。2019年3月に“高校生”を卒業し、2020年夏にマイクロソフトから独立した。
現在はクリエイティブ活動に注力しており、2018年に生放送でMCを務めるレギュラー番組「ニコラジパーク」(JFN系列)がスタート。2019年にはavexとレコード契約、2020年5月から、“現実と非現実のミックス”をコンセプトにした音楽プロジェクト「Team Frasco」の画家として活動している。このほかにも、作詞家、ダンスの振り付けなど、最新のAIテクノロジーを駆使したクリエイションの可能性を拡大している。
同社の研究部門では、ディープラーニング技術を活用してAIが人間とインタラクションを行うためのコア技術の研究を実施。人間と同じような文脈を踏まえた対応で、自然な会話を続けることができる会話エンジン「共感チャットモデル」、文脈を踏まえ具体的でより内容のある雑談を返答する「コンテンツチャットモデル」、カメラを通じて「見た」ものに感想を述べる「共感視覚モデル」、自然でエモーショナルな音声表現を実現する「音声・歌声合成システム」などを発表。AI「りんな」は、これらの最新技術を取り入れているという。
サービス提供当初よりさまざまな企業から自社キャラクターに「りんな」のテクノロジーを活用したいという要望があり、2018年にはAI「りんな」のテクノロジーを活用した法人向けデジタルマーケティングソリューション「Rinna Character Platform(RCP)」のサービスを開始。同サービスでは「雑談エンジン」、「レコメンデーション」、「スキル」といった機能を、キャラクター性を持たせたAIとして個別にカスタマイズすることが可能だという。