動画制作・広告事業を行うCandeeは、動画マーケティング業界に関する2022年上半期総括レポートを発表した。同レポート内容の詳細は、次のとおり。
動画マーケティング市場の変化
昨今、動画マーケティングが活況になっている。動画とテキストを比較すると、動画は1秒間あたり60万字分の情報を再現できると言われている。また、技術の発展によって動画を流すことのハードルが下がり、マーケティングにおける動画の重要性そして需要も高まっている。さらに、企業が動画を活用するだけでなく、消費者がスマートフォンで見ることも容易にできる時代となった。
Candeeは現在8期目を迎え、動画制作・広告を中心に事業を行っているが、創業時は、スマートフォンの普及とともに通信環境が改善され、動画マーケティング市場が伸びることを見越して、スマートフォン向けの動画に着目した。同社は、スマホファーストを掲げ、いち早く横型の動画から縦型の動画へ対応した。動画マーケティングに最適なコンテンツを提供し続けているなかで、特に2021年から2022年では、スマホ動画の需要が高まったことを感じていた。
動画マーケティングはZ世代の攻略がカギ
近年の動画マーケティングでは、Z世代の攻略がカギとなる。Z世代の心を掴めば、多くの世代に波及していくといえるという。しかし、マスメディア離れしているZ世代には、従来のマーケティング方法や戦略は通用しない。さまざまなプラットフォームでそれぞれの特性に合わせた魅せ方や取り組みを重ね、若者たちとのコミュニケーションも図ってきた。
特に動画広告に関していえば、同社で2022年2月14日〜同年2月16日に行なった調査では「Z世代の6割以上が『Twitterの動画広告』に嫌悪感を感じない」という結果に。この調査から、攻略をすべきZ世代も情報の受容はオープンである状態が見受けられ、情報の需要度が高いZ世代に対し、どのようにアプローチをするかが鍵になっているということがわかる。
同社のサービスのうち、インフルエンサーを起用した代表例として、「Live Shop!」というライブイーコマースアプリがあった。同アプリをリリースしたことで、Z世代を攻略するノウハウを蓄積してきたことももちろんだが、デジタル動画では何が正解なのか、どのようなコンテンツがファンの心理に刺さるのかなど、トライアル・アンド・エラーを重ねてきた。
Z世代を攻略する動画コンテンツの秘訣とは?
Z世代に訴求していくためは、「トライブマーケティング」が欠かせません。トライブマーケティングとは、その名の通り「Tribe(部族)」のような仲間作りをするマーケティング方法であり、熱狂的なファンを持つインフルエンサーを活用し、そのファンコミュニティをいかに巻き込むかが動画コンテンツの秘訣となっている。一般的にSNS動画は「30秒」が最適だといわれているが、すべてにおいて当てはまるわけではない。ファン心理をきちんと突いたコンテンツを作り上げれば、長尺の動画でも視聴してもらえるし、商品やサービスも購入される。
Candeeでは、2分程度のWEBCMや、10分尺のドラマ仕立てのWebCMを分割して配信し成功した事例も多くある。Z世代に限らずいえることだが、一般的にはタブーとされる方法でも、キャスティングを含めターゲットに合わせた企画を作り込むことで、有効になるコンテンツにすることが可能となる。実際に、同社ではさまざまな実績を重ねてきたことで、Twitter社からも評価され、アライアンスパートナーの第1号に認定もされている。
LIVE配信は、インタラクティブなコンテンツで成功に導く
さらにスマホ動画において重要なことは、その「インタラクティブ性(双方向性)」である。テレビとは違い、スマホでのLIVEコンテンツは、コメントなどで双方向のコミュニケーションを取ることが可能。上述の「Live Shop!」も、「スマホ・縦型・生配信」という3段構えで行い、臨場感溢れる視聴者との掛け合いのなかで映像物を作ってきた。テレビでも生中継はあるが、スマホでの生中継では、視聴者のコメントが方向性に強い影響をおよぼすため、制作サイドがそのことを想定して配信体制を組んでいる。
もうひとつLIVEコンテンツにおいて重要なのは、出演者の対応力である。アドリブだったり、視聴者のコメントを盛り上げる力。いくら有名な出演者でも、ただ単に台本を読むだけでは盛り上がらない。ゲリラ的に視聴者のコメントを上手く拾う力が求められている。いかに視聴者がアクションを起こす回数を増やして、よりインタラクティブなコンテンツを作れるかという企画力が鍵となる。現在、同社ではLivePark社との協業によってライブコマースを含んださまざまなインタラクティブなコンテンツを提供している。
スマホというメディアとLIVEコンテンツの親和性
デジタル動画やデジタルマーケティングの主戦場は今、スマホになりつつあり、なおかつそれを取り巻く環境が良くなっている。スマホは自分の体から一番近く、1日24時間のうちで一番触れる端末であることから、高い即時性と、より自分から能動的に働きかけるメディアになると考えている。そうなると、制作側も受け手が「手で画面を持っていること」を意識しなければならない。ゲーム業界での変化を例に挙げると、パソコンで流行っていたゲームをそのままスマホに移し、当初ユーザーは横向きでプレイしていたが、縦向きでプレイさせることで多くのヒットゲームが生まれた。このような流れは、動画においても同様であり、スマホにアジャストするかたちになっていくと推測される。
このように、スマホが肌身離さず日常に溶け込んだことで、「今この瞬間にやっている」というLIVEコンテンツにはとても親和性がある。防犯カメラのような単純かつ定点的な生配信が盛り上がらないように、良いLIVEコンテンツを作るための工夫や、スマホの機能・プラットフォームの仕様に合わせた体制を整えることが必要となる。
VRやメタバースのLIVE配信など、「WEB3時代」に突入
動画の広告市場は、全体的に右肩上がりとなっている(サイバーエージェント/オンラインビデオ総研デジタルインファクト調べ「国内動画広告の市場動向調査」)。ただ、その内訳は、動画広告の割合が多く、成長率で言えば、広告よりも低い状態である。さらに、競合大手も制作市場に力を注ぎ始めている。
また、アフターコロナ時代が来ると、オンラインとオフライン、両方実施するハイブリッド型の施策がスタンダードになってくると見込まれる。オンラインで起こったことがリアルでも起こる連動施策など、面白い企画や展開ができるようになるため、ハイブリッド型のニーズに応えるためのコンテンツ企画力や技術力を磨き、さらには、動画やライブ配信の枠を超えて、手法にとらわれずにクライアントのマーケティング課題を総合的にサポートすることが重要になっていく。
LIVEコンテンツは、これまで培ってきた実績や件数があることからも、同社の軸であることは変わらない。デバイスや通信環境などの技術発展に影響を受ける業界であり、今後さらに生配信ができる環境が増えることを見越している。すでにVRでの生配信や、メタバース上のLIVE配信も始まっているので、「WEB3時代」においても、LIVEコンテンツの需要はあると考えている。同社が実施したVR・メタバースでのLIVE配信に関する実態調査によればVR視聴環境が整っているZ世代の74.8%が「VRでの生配信を視聴した経験がある」という回答となっている。
さらに、メタバース空間でのリアルタイムな画像合成などのLIVE配信にも、8割以上が興味を示しており、多くの人に求められている実態となっている。
調査概要
「Z世代の動画広告」に関する意識調査
- 調査方法:インターネット調査
- 調査期間:2022年2月14日〜同年2月16日
- 有効回答:Twitter・YouTubeを毎日利用しているZ世代104名
VR・メタバースでのLIVE配信に関する実態調査
- 調査方法:IDEATECHが提供するリサーチPR「リサピー®️」の企画によるインターネット調査
- 調査期間:2022年8月1日〜同年8月2日
- 有効回答:LIVE配信を毎日視聴し、VR映像の視聴環境があるZ世代111名