ゲッティイメージズは、同社が運営する、市場の分析データに基づいた質の高いコンテンツを提供するストックフォトサイト「iStock」において、時代に合わせた企業コンテンツを提案し、クリエイティブの分野においても業界を牽引し続けている。
同社は、2020年2月より、世界的な市場調査会社であるMarketCast社と提携し、26ヵ国13言語で1万人以上の消費者と専門家を対象に調査を行い、「今、求められているビジュアルコンテンツ」を具体的な数字とともに明らかにした「VisualGPS」と呼ばれるガイドラインを作成している。同調査に裏付けられた市場のニーズやトレンドをもとに、世界中のコントリビューターと呼ばれる契約クリエーターに対して撮影指導を行うことで、時代に合わせたコンテンツを提案している。
食品や日用品、生活に欠かせない商品の物価高騰が続いている
春先から始まった世界的な原材料価格の高騰に加え、ロシアによるウクライナ侵攻と円安の影響もあり、日本国内では、食品や日用品など身近な商品の値上げが相次いでいる。総務省が公表した2022年8月時点での消費者物価指数によると、前年同月比での物価上昇率が2.8%となり、約31年ぶりの高い水準となった。この10月には食品を中心に約6,700品目の値上げが実施されたこともわかっている。政府も、物価高騰に対応した経済対策を検討するなどしているが先行きは不透明のままで、生活への不安も日に日に高まっている。
Z世代とミレニアル世代は「もっとも金銭面に不安を感じやすい」
VisualGPSの調査によると、日本のZ世代とミレニアル世代の6割弱にあたる58%が、ほかの世代と比較しても、「もっとも金銭面に不安を感じやすい」という結果が出ている。また、Z世代とミレニアル世代の77%が、「今後の生活費が自分の収入を超えるだろう」と予想しており、全世代では71%が同様の回答をしていることと比較すると、その差は大きくなっている。若い世代は就職などで社会に出てからの年月が浅く、金銭面に余裕のある生活がまだまだ難しいことがうかがえる。先の見えない物価高騰や経済への不安があるなかで、若い世代は金銭に関するリテラシーを高め、将来に備えた貯蓄への意識が高いことも判明した。
人々は“ちょっとした瞬間”に幸せを感じる
VisualGPSの調査によると、消費者の77%が、「日々の生活のなかで、何か良いことを見つけて喜びを感じる機会を探している」ことが明らかになっている。ゲッティイメージズとiStockでダウンロードされているビジュアルを分析してみても、何か大きな出来事に対する喜びというよりも、日常の“ちょっとした瞬間“に幸せを感じるようなビジュアルが好まれていることがわかっており、人々は、人生の大きな節目に焦点が当てられたようなビジュアルよりも、「今、ここにある」身近な体験を描いた画像や動画、イラストに共感する傾向があることがうかがえる。
企業やブランドは経済不安を感じる時代を乗り越えるビジュアル選択を
VisualGPSの調査によると、消費者の5人に3人(60%)が、商品を購入する際に、画像や動画、イラストなどのビジュアルコンテンツを判断材料にしていることがわかっている。Z世代やミレニアル世代などの若い世代がとりわけ金銭面に不安を感じやすいことが明らかになったので、企業やブランドは、自社の広告やウェブサイトなどに使用するビジュアルコンテンツについて、若い消費者にどう届いているかを改めて分析する必要がある。そのうえで、「家を買う」などの大きな喜びを描いたビジュアルではなく、日々の生活のなかで、「友人と美味しいものを食べた」、「家族でお出かけした」など人生のちょっとした瞬間に幸せを感じるようなビジュアルを選択することが大切だという。企業やブランドは、人々が経済的に不安を感じる時代を乗り越えるために、これを良い機会と捉えて自社のビジュアル表現を見直すことが必要である。
ビジュアルメッセージには「共感」と「ウェルネス」を
ビジュアルを選択する際には、若い世代など経済的に物価高騰の影響を受けやすい立場の人たちに寄り添ったものを選ぶことによって、視覚的にも消費者に情報を伝えサポートすることができる。「共感」とより良く生きようとする「ウェルネス」といった視点をビジュアルメッセージの中心に据えることは、消費者との信頼関係を構築するためのカギとなる。