新たな経済実態の中で、あらゆる規模の企業が新たな課題に対処する方法を探している。大規模なレイオフを発表した大企業もあれば、価格上昇や需要への影響、利幅の縮小を乗り切らなければならない中小企業もあり、起業家や経営者は、新たな苦境を乗り切るための指針を示す戦略を模索している。
プレミアム画像や動画を手頃な価格で提供する世界最大級のストックフォトサイト「iStock」は、現在の経済の見通しにおいて、消費者心理を中小企業が理解するために、同社のクリエイティブインサイトプラットフォームVisualGPSによる調査レポートを発表し、2023年の企業のマーケティング戦略の指針となる情報を提供する。
企業は「共感」を重視したビジュアルの活用を
VisualGPSによると、消費者の世界的な関心事は、「気候変動」、「インフレ」、「商品・サービスのコスト上昇」となっている。さらに重要なことは、消費者が自分にとって幸福とは何かを再構築し、優先順位をつけていることである。たとえば人生のなかで重要視している項目としては、大多数(63%)がワークライフバランスの改善、次いで身体の健康改善(59%)、大切な人と過ごす時間の増加(52%)と回答している。
また、80%の人々は、消費者の直面する課題を真摯に受け止める企業を高く評価すると回答。これは、企業が消費者の現在直面している、または将来直面するだろう問題や課題を理解し、その対処方法を自社のサービスやプロダクトと結びつけ、消費者の幸福度を向上させる体験として紹介することが大切である、ということを意味する。
iStockクリエイティブインサイト部門グローバルヘッド レベッカ・スウィフト博士 コメント
「VisualGPSの調査では、世界の3人に2人が、企業が自分に対して共感を示してくれることを期待しているという結果が出ています。中小企業は、適切なビジュアルを通じてこれらの価値を消費者に伝え、期待に応えることができれば、この新たな経済状況においても消費者とさらに関係を深めることができると言えます」
2023年のビジュアルマーケティング4大トレンド
あらゆる業界の中小企業のビジュアル戦略を検討する際に役立つよう、iStockの専門家が2023年のビジュアルマーケティングの4大トレンドを紹介した。
共感を呼ぶこと
経済が不安定で、景気の後退が懸念される未来において、懇親会のような場を設ける際には、人々が集うために低コストのアクティビティを考えてみる。アウトドアアクティビティやボードゲーム、無料でアクセスできる美術館などの施設での体験は、経済的苦境を意識しながらも消費に前向きな顧客とつながるのに最適である。
社会とのつながりを優先する
消費者は何よりも自分と自分の大切な人を優先している。友人や家族とより良くつながる充実した体験の様子を表現したビジュアルを提示することは、消費者とのエンゲージメントを高めるために非常に重要となる。食事や飲酒などといった、アクティビティ自体に焦点を当てるのではなく、そのアクティビティを通したポジティブな感情や、人と人とのつながりを表現することが大切といえる。
“小さな贅沢”を考える
VisualGPSの調査によれば、世界の消費者の経済的懸念事項の第1位は「生活費の上昇」だった。このように経済が不安定な時期は、家計に大きな負担をかけない範囲で、気分を高揚させるような消費を楽しむ「リップスティック効果」が高まる可能性があります。つまり、物価が上昇する一方で、「小さな贅沢」の選択肢が広がり、今までは贅沢品として紹介されてこなかったものも、贅沢品として紹介する機会も予想される。
心と体の健康も忘れずに
個人の幸福を優先させることで、人々の「旅」に対する見方も変わってきている。定番の観光地やランドマークを紹介するだけではなく、それがもたらす体験や感動を表現することを優先する。また、「どこでも仕事ができる」、「今を生きる」、「アドベンチャー」、「一人旅」に関するビジュアルを考慮し、「旅」がいかに心の健康をサポートするのかに関して考えてみることも大切とのこと。
また、ビジュアルマーケティングのトレンドとして、山への旅行がビーチへの旅行を上回り、特にアドベンチャー体験の人が増加すると推測される。より豪華なアクティビティにお金をかけられる消費者に関しては、サファリやクルーズへの関心が高まるかもしれない。