エビリーは、2022年12月までに投稿されたYouTubeショートの動画について調査を行った。同調査はYouTubeデータ分析ツール「kamui tracker(カムイトラッカー)」を活用している。
YouTubeにおけるショート動画の重要度が高まっている【ショート動画の市場概況】
ショート動画は2021年1月に、8,296本投稿されていた。この時点でのYouTubeの全動画のなかでの割合は1.26%だったが、2022年12月時点では88,850本となっており、YouTubeの全動画のなかでの割合も10.52%に。この2年でショート動画の月間投稿数はおよそ10倍になっている。
続いて、ショート動画タイアップ投稿についての調査した(2022年1月からのデータを参照)。
ショート動画タイアップ投稿の本数については、通常のショート動画ほどは伸びていないが、緩やかに増加傾向が見られた。2022年9月がピークで2022年10月〜12月は投稿本数が減少するなど、月によってばらつきがあるが、平均すると動画の投稿本数は伸びている。11月と12月は年末のセールが増え購買欲が高まる時期のため、タイアップ投稿自体の本数が増えてくることが考えられる。
エンタメ系やグルメ系などの「ノンバーバルコンテンツ」で顕著な伸び
ショート動画が伸びているチャンネルの特徴としては、2022年にYouTube全体でも伸びたコンテンツの特徴と同じくコメディ・エンタメ系が多いことが挙げられる。
外国で流行った不思議な動画をYouTuberが動画内で検証するコンテンツや、体を張ったコンテンツが人気の「Sagawa/さがわ」や「spider-maaaaaaan/スパイダーメーン」が安定した視聴回数を保っている一方で、「M2DK. マツダ家の日常」のようなお菓子を再現するエンタメ系コンテンツや「Bayashi TV」などのグルメ系コンテンツも伸びを見せている。
日本国内にとどまらず外国人も楽しめるノンバーバル系のコンテンツは、届く市場を広げられることが、結果から見受けられる。このような動画が海外の視聴者にも受容されると、視聴回数が数千万〜億を越えて伸びた事例もある。
ヒットの要因は「タイパ」を求める人々の需要の高まりか
YouTubeショートは「縦型短尺動画」の需要の高まりにともない、2021年に日本でも利用が可能となった。縦型短尺動画の大きな強みには、次のことが挙げられる。
1については、「タイパ(タイムパフォーマンス)」が問われる時代において、ショート動画は閲覧するユーザーが空いている短時間で気軽に視聴できる点が魅力的で、この特性から一気に視聴回数を獲得できることもある。
2についてもタイパを求める人々のニーズに応え、視聴の手軽さを高めるポイントとなっている。
3の長尺動画と比べて動画撮影と編集の工数が少ない場合が多いという点は、投稿するユーザーにとっての大きなメリットに。誰でも気軽にコンテンツを配信できる点が、ショート動画の爆発的な増加に寄与していると考えられる。
また、ひとつのコンテンツをTikTokやInstagramのリール動画などの他媒体でも活用でき、より広範囲のユーザーに動画を届けることが可能。とくにTikTokとYouTubeショートの汎用性は高く、2022年12月時点の総視聴回数トップ5に入るクリエイターは全員がTikTokとYouTubeショートをどちらも活用しており、両媒体で同様のコンテンツを配信していた。
また、2023年2月からショート動画の収益化が決定したことで、YouTubeショート市場に参戦するYouTuberや他SNSからのクリエイターが増加することも予想される。
調査概要
- 調査期間:2021年1月1日〜2022年12月31日
- 調査ツール:kamui tracker
- 調査対象:2021年1月1日以降に開設された国内のYouTubeチャンネル
調査条件
「動画検索機能」調査項目
- ショート動画投稿本数(月別)の推移
- 全体投稿動画の中でのショート動画投稿の割合の推移
- ショート動画タイアップ投稿本数(月別)の推移
- 全体投稿動画の中でのショート動画タイアップ投稿の割合の推移
- ショート動画タイアップ動画の視聴回数ランキング
「チャンネル検索機能」調査項目
- 2023年1月時点で60秒以下推定視聴回数(※)(30日間)が多いチャンネル。
※推定視聴回数:対象のYouTuberが1本動画を出した時に推定される視聴回数であり、kamui tracker独自のデータに基づいて集計される数値。