IT関連メディア事業を展開するインプレスは、動画配信ビジネス市場の動向を調査し、動画配信に関する調査結果を発表した。
映像・動画全体の視聴状況と有料動画配信サービスの利用率調査の注目の結果
有料動画配信サービスの利用率は2.8ポイント増の31.7%に伸長、4割弱が利用経験者に
有料動画配信サービスの利用率は31.7%となり、昨年調査から2.8ポイント増加。また、3ヵ月より以前の利用者も含めた有料動画配信サービス利用経験者は38.6%(同2.3ポイント増)となった。コロナ禍において生活に深く浸透した動画配信は、新型コロナが落ち着いたなかでも定着し引き続き高い成長率を維持している。2022年度は民放テレビ局が連携した動画配信サービスのTVerの躍進や、FIFAワールドカップカタール2022を生配信したABEMAなどにより、有料に限らず動画配信サービスそのものがより浸透した。さらには、コネクテッドTVの普及、World Baseball Classicや格闘技など大型スポーツイベントの有料動画配信サービスでの配信や、引き続き各サービスで話題となるオリジナルコンテンツが配信されていることなどが拡大の大きな要因と考えられる。
性年代別に見ると、男女とも20代、30代において有料の動画配信サービスの利用率が高い状況である。
若年層を中心に動画共有サービスや有料動画配信サービスの人気がより高まる
普段よく視聴する映像・動画のうちもっとも好きなものを聞くと、第1位は前年調査と同じく「リアルタイムのTV番組」(27.0%)だったが、第2位に「動画共有サービス」(19.3%)がランクイン。第3位の「録画したTV番組」(18.7%)を動画共有サービスの人気が追い越した格好となっており、この背景にはYouTubeの圧倒的浸透があると推察される。また、リアルタイム・録画ともにTV番組の比率は昨年に引き続き低下している。
一方、「有料の動画配信サービス」は11.7%となり、昨年調査から2.3ポイントの増加となっており、もっとも伸び幅が大きい結果となった
また、性年代別に見ると、男性10代、男性20代、男性30代、女性10代、女性20代は「動画共有サービス」が突出してもっとも高い比率となっていることが特徴的である。また、男女とも10代、20代では「有料の動画配信サービス」が「動画共有サービス」の次点になっており、「リアルタイムのTV番組」の比率が10%程度と低くなっている。
PPV(有料のオンラインライブ配信)の利用率は2.0ポイント増の17.2%
コロナ禍の動画配信市場の大きな変化のひとつとして、有料チケット制オンラインライブ配信(PPV)が急速に立ち上がったことが挙げられる。新型コロナが落ち着きを見せ、リアルイベントの開催が回復しつつあるが、リアルとオンラインのハイブリッドで開催されるイベントも多くなっている。
本年調査では、PPVを「よく視聴する」「たまに視聴する」「1、2回は視聴したことがある」を合わせた利用経験者は17.2%となり、昨年の15.2%から2.0ポイントの増加となっている。「よく視聴する」の比率は昨年の0.4%から3.5%へと拡大。2022年度にはPPVで配信されるスポーツやイベントも多くなり、外出自粛や物珍しさで視聴されていた一昨年の利用状況から、課金をして視聴することがユーザーにより広まったと考察される。
動画配信サービス利用者の利用状況調査の注目の結果
Amazonプライム・ビデオが突出もU-NEXTとディズニープラスが伸長
有料の動画配信サービス利用者を対象に、利用している有料の動画配信サービスを調査した結果、トップは「Amazonプライム・ビデオ」が72.6%となり、昨年から横ばいとなっている。2位は昨年同様「Netflix」(21.7%)だったが、昨年調査から2.0ポイント低下しています。3位は「U-NEXT」(9.3%)となり、昨年調査から2.2ポイント増加してランクアップ。また、「ディズニープラス」(7.4%)の2.6ポイントアップも注目される。
テレビでの視聴が増加傾向、テレビで視聴するユーザーが50%超に
有料動画配信サービス利用者に視聴に利用するデバイスについてたずねたところ、「テレビ」で視聴するユーザーが53.6%となり、昨年調査の48.8%から4.8ポイント増加した。この背景には、コネクテッドTVの普及や、よりきれいな大画面でスポーツや作品を楽しみたいというユーザーが増えたことが考えられる。
無料動画はYouTubeが突出、TVerとABEMAが大きく増加
無料の動画配信サービス、動画共有サービスをよく視聴すると回答したユーザーに対して、利用しているサービス名を聞いたところ、「YouTube」が95.2%で突出し、以下、無料の動画配信サービスである「TVer」が43.6%で続く。昨年調査と比較すると、「TVer」は6.5ポイント増加し2年連続で順位を上げていることが注目される。また、「ABEMA」も5.8ポイント増加している。
調査概要
映像・動画全体の視聴状況と有料動画配信サービスの利用率調査
- 調査期間:2023年5月2日~8日
- 調査対象:NTTコムリサーチの保有する消費者モニター
- 有効回答数:20,469回答
- 調査手法:ウェブアンケート
動画配信サービス利用者の利用状況調査
- 調査期間:2023年5月8日~12日
- 調査対象:上記の映像・動画全体の視聴状況と有料動画配信サービスの利用率調査にて、次の回答をした者(重複あり)…3ヵ月以内に有料動画配信サービスを利用していると回答した者、無料動画配信サービスをよく視聴すると回答した者、動画共有サービスをよく視聴すると回答した者(重複あり)
- 有効回答数:1,895回答 うち、有料動画配信サービス利用者1,347回答/無料動画配信サービスをよく視聴する利用者938回答/動画共有サービスをよく視聴する利用者1,278回答
- 調査手法:ウェブアンケート