IBMがアドビとのパートナーシップ拡大 生成AI活用のコンテンツ・サプライチェーン・ソリューションを提供

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2023/07/18 06:30

 IBMは、アドビとの長年のパートナーシップを拡大し、Adobe Sensei GenAIサービスやクリエイティブな生成AIであるAdobe Firefly(現在はベータ版のみ)などの次世代AIやアドビのクリエイティブ生成AIモデルの導入を通じて、アドビ 製品群におけるコンテンツ・サプライチェーンの加速を支援していくと発表した。

 IBMコンサルティングは、数十年にわたり培ったAIの知見をもとに、複雑な生成AIを巧みに使いこなせるよう、イノベーション、テクノロジー、デザインを結集して顧客との対話をデジタルに作り変えるため、新たなアドビ・コンサルティング・サービス群を発表する。パートナー企業は、アドビのAIにより加速するコンテンツ・サプライチェーン・ソリューションとIBMコンサルティング・サービスを活用し、顧客のデザインおよびクリエイティブ・プロジェクト全体で、コラボレーションの促進、創造性の最適化、スピードアップ、タスクの自動化、関係者の可視性の強化を実現する統合コンテンツ・サプライチェーン・エコシステムの構築を支援する。

 アドビの顧客企業は、IBMコンサルティングのさまざまな領域の専門家により、当面は画像やテキスト効果の生成に焦点を当てた「Firefly」や、アドビの企業アプリケーションに組み込まれ、マーケティング・ワークフローを簡素化して生産性を高めることができるマーケターのためのコ・パイロット「Sensei GenAI サービス」などのデザインやコンテンツ制作プロセスにおける生成型AIモデルを効果的に導入できるようになる。

 IBMコンサルティングのIBM iX Customer & Experience Transformationのグローバル・マネージング・パートナー、マット・キャンディ(Matt Candy)氏は、「成長を促進し、生産性を向上させるために、シームレスで高度にパーソナライズされた顧客体験を創造するために、より多くのブランドが生成AIの活用に取り組み始めているため、AI導入の機運が驚くほど高まっています」と述べている。「アドビとの戦略的パートナーシップを拡大することで、適切なガードレールを確立しながら、AIが信頼と透明性の原則に基づいて構築されることでブランドの一貫性と整合性を促進するように、マーケターはより効果的にAIを備えた体験をデザインできます」

イノベーションの創出

 新たなサービスは、IBMがこれまで取り組んできたマーケティング・トランスフォーメーションにもとづいている。IBMは、アドビのマーケティング・チームの業務管理の改善を支援している。20年以上にわたる両社の協業を軸に、IBMとアドビは、アドビによるRed Hat Open Shift、IBMの AI、Sterlingソフトウェアの導入など、テクノロジーとサービスにおいて戦略的パートナーシップを築いている。

 アドビのデジタル・エクスペリエンス・ビジネス担当バイスプレジデントであるジャスティン・メリケル氏は、「IBMとのパートナーシップを拡大し、ブランドがよりパーソナライズされた体験を顧客に提供できるようになることを楽しみにしています」と述べている。「アドビのAIにより加速するコンテンツ・サプライチェーン・ソリューションとIBMの人間中心のエクスペリエンス・デザインを組み合わせることで、企業は、導入を加速し、より良いビジネス判断を促すことで、社員や顧客の満足を高め、まったく新しいレベルのコンテンツ制作の可能性を引き出すことができます」

IBMコンサルティングのAIケイパビリティー

 IBMコンサルティングはこのほど、AIエキスパートを擁するCenter of Excellence for generative AI設立を発表した。このセンターは、生成AIに特化した専門知識を持つ1,000人以上のコンサルタントを有し、アドビ、IBM、その他のエコシステム・パートナーのテクノロジーを含むエンタープライズ向けAIによって、顧客のビジネス変革を加速させるための支援を行う。

 このセンター・オブ・エクセレンス(CoE)は、IBMコンサルティングの既存のグローバルAIおよびオートメーション・プラクティスと並ぶもので、4万件以上の企業と協業してきた。IBM Garage for Generative AIのような実績ある手法を活用し、IBMのコンサルタントが包括的かつ協力的な手法を適用して、生成AIの基盤モデルという新しいカテゴリーにおけるイノベーションを迅速に進めることができるよう支援する。これには、迅速なユースケースのアイデア出しと優先順位付け、アーキテクチャーとトレーニングを選択するためのオープンでマルチなモデル・アプローチ、独自のビジネス・ニーズに対するモデルの微調整(ファイン・チューニング)とスケーリングが含まれる。