富澤商店、Microsoft 365機能を活用した生成AIで社内ナレッジ共有を高度化

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2025/07/18 08:00

 製菓・製パン材料、器具を販売する富澤商店は、ITコンサルティング企業Jarminalと業務提携し、Microsoft365の標準機能と生成AIを活用したナレッジ共有システムを構築した。Microsoft365の既存ライセンス(E3/E5)と最小限のAzure Open AIを活用することで、新たなSaaS契約や大規模なシステム導入をおこなわずに店舗と本社間の情報格差解消、業務効率化、人材育成のスピードアップなどを実現した。

 同社は、製菓・製パン用の原材料を中心に10,000点を超える商品を取り扱い、約8,000件のレシピを自社開発している。全国に88店舗を展開し、プロ仕様の商品を一般消費者にも販売している。

 商品・レシピに関するナレッジの多くは本社で作成され、部門ごとに分散管理されており、本社と店舗の情報共有に課題があった。特に、新人スタッフの教育や日々の業務に必要な情報が十分に共有されておらず、ベテランスタッフに問い合わせが集中し、負担が偏る状態だった。

解決策:Microsoft365×生成AIによるナレッジ共有のデジタル化

ソリューションの全体像
ソリューションの全体像
実際のTeamsでの生成AIチャットボットのやり取り
実際のTeamsでの生成AIチャットボットのやり取り

 富澤商店はJarminalとともに、Microsoft365環境に生成AIチャットボットを導入。RAG技術を活用したAIが、社内に蓄積された情報を検索・参照し、質問に自然言語で答える仕組みを整え、Copilot Studioで内製可能な運用体制を確立している。

導入の効果

 AI導入により、夜間や休日も含めた問い合わせ対応が可能に。現場のスタッフが自身で課題を解決できるようになり、ベテランスタッフへの依存が軽減。本来業務である接客や売場づくりに集中できるようになった。

取り組みのポイント

同取り組みで考慮した点
同取り組みで考慮した点
運用イメージ
運用イメージ

 同取り組みでは、組織全体で安全かつ効果的に生成AIを活用するために、次の施策を実施した。

デジタル技術の活用

 Microsoft 365上で動作する生成AIと社内データを連携させたソリューションを開発・導入。

業務プロセス・役割の見直し

 社内の業務フローやルールを再検討。また、問い合わせ履歴を蓄積・分析し、改善活動に活用する業務プロセスを構築。

情報セキュリティ対策

 アクセス権限やデータ管理のルールを整備。また、セキュリティ対策を講じ、社内ナレッジをセキュアに扱える環境を構築した。

社員への生成AI研修

 全社的に生成AI研修を実施し、社員のITリテラシーを向上。研修では、活用例やプロンプト例を整備し、Copilot活用の土壌を構築。

 これらの包括的な取り組みにより、同社社内では生成AIを安全かつ効果的に活用できる基盤が整いつつある。