[後編]デザイン×データ論――今後のクリエイターに必要な仮説検証とマーケティングの話

[後編]デザイン×データ論――今後のクリエイターに必要な仮説検証とマーケティングの話
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2019/07/23 08:00

 今回デザインとデータについて話を伺ったのは、アドビでコンサルタントとしてユーザーの課題解決にあたった経験をもち、現在はプロダクトエバンジェリストをつとめる安西敬介さんと、同社で2018年までCreative Cloudスペシャリストとして活躍し、現在はビジネスディベロップメントマネージャーをつとめる阿部成行さん。後編では、これからのクリエイターに求められる視点やスキルについて話を伺った。  

[前編]デザイン×データ論――クリエイティブの定義が今、変わりつつあるのかもしれない はこちら

細かい分析はいらない データをもとにストーリーを組み立てるために

――前編でお話いただいたような、AIに任せることも増えていき、何が最適なのかを常に検証しながらクリエイティブを制作することが求められるようになったとき、どんな知識をクリエイターは身につけていけばいいのでしょうか。

安西 結局、データというファクトがあって、そこからそのインサイトや分析したことで新たに導き出された視点がいくつか生まれてきて、その視点をつなぎ合わせてストーリーを作っていくわけですよね。

とくにデザイナーに求められるところで言うと、その分析結果がある程度出揃った状態からストーリーを作ってクリエイティブに落としていくという部分が求められるようになると思います。

別にデータサイエンティストのように、細かいデータ分析ができるようになる必要があるわけではないですが、データAとデータBとデータCがありますと言われた時に、そのデータから想像力を膨らませて、いかにストーリーを作るかというのは、これからデザイナーに必要とされるスキルのひとつになっていくように思います。

アドビ システムズ 株式会社 安西敬介さん
アドビ システムズ 株式会社 安西敬介さん

データって、用意されたデータの結果が少なければ少ないほど、仮説って本来たくさん出てくるんですよ。

なぜかというと、不確定要素が多いからです。明確になっていないことが多いので、データがふたつの場合は、「あともう1個こういうデータがあったらこうだよね」、「それとは別のこういう数字があったら、今度はこんな仮説が成り立つよね」という風に、もとになるデータが少なければ少ないほど、仮説の数は多くなりますね。「仮説Aと仮説Bと仮説Cがあれば、この仮説Dの可能性はなくなるね」という風に、仮説の数が増えていけば、導き出す答えも少しずつ絞り込まれていきます。

たとえば、いくつか実際にデータを並べて社内で仮説を出してみるとトレーニングになると思います。10個あった仮説をまずは5個に絞り、その5パターンでクリエイティブに落としこんでいくという風にやってみると、データを活用して仮説を作り、ストーリーを組み立てていくことができるようになっていくと思います。

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