コンサル型資料作成サービス「KUROKO PPT」とは ヒアリングからデザインまでを担う木下さんに聞く

コンサル型資料作成サービス「KUROKO PPT」とは ヒアリングからデザインまでを担う木下さんに聞く
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2020/09/09 08:00

 2014年12月にリリースされた経営者の思考を具現化する、コンサルティング型のプレゼンテーション資料作成サービス「KUROKO PPT」。事業計画説明資料や営業資料、ピッチイベント登壇資料などでおもに活用されている。先日、KUROKO PPTを通じた未上場ベンチャー企業の資金調達支援実績において、関与調達額200億円を突破したことも発表された。今回は、そんなKUROKO PPTを提供するリライアンス・データの取締役兼エグゼクティブ・ディレクター・木下翔太さんに話を聞いた。サービスが生まれた経緯や、日々クライアントと対峙するうえで心がけていることとは。

大きな意思決定の場面で活用される「KUROKO PPT」開発の経緯

――まずは、木下さんのご経歴から教えていただけますか?

大学在学中、プレゼンテーションの授業を受けており、その講義を担当していたのが、有名なプレゼンに関する書籍『プレゼンテーションzen』の著者であるGarr Reynolds氏でした。Reynolds氏のもとで3年間プレゼンについて学んでいきました。

在学中は社会人のいろいろな方とお会いしていたのですが、そのうちのひとりがセキュリティスタートアップであるCapy株式会社の代表、岡田満雄さんです。岡田さんが2013年にIVS(インフィニティ・ベンチャーズ・サミット)というベンチャーのピッチイベントに登壇する機会があり、そのスライドをどのように作成したら良いか悩んでいた。そこで、資料づくりをサポートしてほしいとお声掛けいただいたのが、私の初めての仕事です。そのピッチイベントで岡田さんは見事優勝しました。

2013年に関西の大学を卒業し、それから1年ほどフリーランスで、プレゼンテーションのデザインの仕事をしていました。1年目の後半くらいに、リライアンス・データ代表の泉と出会い、ジョインしました。

――コンサルティング型資料作成サービス「KUROKO PPT」は、どのような経緯で開発されたのでしょうか。

代表の泉が大手金融機関の投資銀行部門で働いていたころ、1件あたり数億や2桁億の金額が動くような案件で資料の作成を行っており、資料が持つインパクトを体感していました。そのあと泉は取締役CFOという立場で、上場企業である株式会社フルスピードの経営をはじめ、IR資料の作成などに携わりました。

もちろんそれだけではないのですが、泉が資料づくりに関わって以降、フルスピードの株価も大幅に上がり、その資料が業界内でも話題になったんです。会社の経営にとって、資料の見やすさが重要な指標のひとつであることを理解している経営者は、当時から多かったんですよね。そんな背景もあり『泉が独立するなら、IRやそれにまつわる資料づくりをやってほしい』という声が多かったことから、このサービスが生まれました。

KUROKO PPTのデザインサンプル。

KUROKO PPTのデザインサンプル。

――そんなKUROKO PPTには、どのような特徴があるのでしょうか。

シンプルに資料のデザインを整えるだけでなく、経営者がこの資料を作る目的や背景、この資料をつかって成し遂げたいことなどもヒアリングしたうえで資料に落としこんでいくことを特徴としたコンサルティング型資料作成サービスです。

ご依頼いただく際にお客さまの元の資料を拝見すると、情報量が膨大なケースや、知識がなければ理解できないのではないかと感じる内容であることも多い。この資料でなにを伝えたいのか、いちばん優先順位が高いものはどれかなどを一緒に整理していくことで、経営者の人も見えていなかった課題や強みが浮き上がってくることもあります。このように、ビジュアル面だけでなく情報を構造化して捉えることができるのも、私たちの強みだと思います。

ご依頼いただく用途のなかでもっとも需要が高いのは、ベンチャー企業が資金調達をする際に作成する事業計画説明資料です。ほかには上場企業の決算説明資料や、上場直前のロードショー、成長可能性に関する説明資料など、プレゼンによって与えるインパクトが大きい場面で活用していただくケースが多いですね。

利用していただいているクライアント企業の業種は、上場企業から創業間もないベンチャー企業まで規模はさまざまですが、IT系が圧倒的大多数です。ITやテック系の企業が扱っているサービスは、いままでになかった仕組みや考えかたで開発されているものも多い。新しいものだからこそイメージが湧きづらく、いかにわかりやすく説明できるかがカギになることもあります。IT系のクライアント企業が多い背景には、そういった理由もあるのではないでしょうか。

――KUROKO PPTは、どのような体制でサービスの提供を行っているのですか?

私たちはデザインとコンサルティングの担当者を明確にわけていません。上場企業やベンチャーの経営者の方とお話することが多く、ビジネスモデルや経営戦略への理解が不可欠だからです。案件の大きさやリソースなどの観点から、フロントにたつディレクターと実作業を行うデザイナーに役割をわけることもありますが、ビジュアルだけでなく情報もふくめた“デザイン” ができるメンバーが一気通貫で対応しています。これは、質の高いサービスを提供するうえでとても重要だと考えています。私の場合は、お客さまからお話を伺って、資料としてアウトプットする部分までをすべて担当することが多いですね。

――木下さんは、業務に必要なスキルをどのように身に着けていったのでしょうか。

もともとプレゼンの勉強をしておりデザインの知識はなかったので、DTP領域のイラストやチラシなどのレイアウトを中心に独学で習得していきました。一方ビジネススキルは、6年ほど現在の仕事をするなかで、経営者の方と話すなど実践の場で身につけていくことが多かった。もともと上場企業の経営に携わっていた代表の泉の横で、四六時中勉強をさせてもらったことも大きかったですね。

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