こんにちは。株式会社アジケでUXデザイナーをしている佐藤李里(サトウリリ)です。前回は、プロダクトの制作フェーズで有効なリサーチ手法をご紹介しました。これらの手法を使うことで、エビデンスを持ってUIデザインに落とし込んでいくことができるかと思います。今回は、デザインを作成したあとに、よりユーザーに寄り添ったデザインに改善するためのリサーチ方法をお伝えします。
まずは、プロダクトやサービスのユーザビリティの課題を幅広く発見するための手法についてです。
リサーチ手法1:ユーザビリティテスト
概要
被験者が実際に触れることのできるプロトタイプを使ってタスクを実行してもらい、その様子や発言を観察。それにより、ユーザーの行動を理解したり、プロダクトの課題を発見します。
メリット
ユーザーがプロダクトを使っている様子を観察することで、ユーザーの行動や好みをより深く知ることができたり、プロダクトの中でユーザーにとって使いにくい部分など改善点を発見することも可能です。たとえばGoogle Analyticsなどで数値検証を行っており、ユーザーがサイト内をどのように動いているかは把握できていても、その理由がわからないといった場合に有効です。
方法
ユーザビリティテストの方法は、今回は割愛させていただきます。こちらなどを参考に、実施してみてください。
Tips1:一度当たりの人数は少なくし、回数を増やす
ユーザビリティテストは、1回あたり3~5人に行うのが最適と言われています。(この人数で足りるのか不安な方はこちらを参考にしてみてください)
ただしユーザビリティテストは、被験者数に比例してモデレーターや分析に時間もかかります。時間が限られている状況では、1回当たりの被験者の数を増やすより、テストの回数を増やすことを意識しましょう。
たとえば、被験者数を5人に設定していた場合、最初のふたりのテストが終了した時点で明らかに重要度の高い課題を発見した場合は、ほかの3人でも同じ課題が発生し、時間が無駄になってしまう可能性もあります。その場合はふたりで切り上げ、プロトタイプをブラッシュアップしてから次のテストを行うなど、柔軟に対応し効率を上げましょう。
また、テストの頻度は多すぎるということはありません。LEAN UXでは、毎週木曜に3人のテストを行う方法が紹介されています。毎週行うのは難しいケースも多いと思いますが、回数を重ねることが重要であることを頭に入れておきましょう。
Tips2:リモートやモデレーターなしのテストで無駄な時間を減らす
テストの対象がデジタルサービスの場合、スクリーン共有を使ってリモートで実施することも検討しましょう。オフラインでの実施がマストなケースは、そのサービスが特定の場所で使われる場合やITリテラシーが著しく低い人が対象な場合などに限られます。
もちろんオフラインで行った方がボディランゲージなどから得られる情報は多いです。しかし、リサーチャーの移動時間や、被験者の集めやすさ、自分の慣れた環境でリラックスしながら行えるといった参加のしやすさではメリットが多く、より頻繁にテストをすることが可能になります。ぜひリモートテストを積極的に導入してみてください。
また、UserTestingやUsabilityHubなどのサービスを使用することで、モデレーターなしのテストを行うことも可能です。追加の質問がしにくいなどのデメリットもありますが、短時間でより多くの結果を得たい場合にとくに有効です。なお、ご紹介したふたつのサービスは、サイト自体は英語表記ですが、テストの質問は日本語で作ることができます。
次はおもにトップページなどのコンバージョンを上げたり、直帰率を下げたい場合に取り組むべき方法を紹介します。