DNP、既存機器に後付けできる「非接触ホロタッチパネル」開発 空中に画像を表示してタッチレス端末に

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2021/01/08 06:00

 大日本印刷(DNP)は、リップマンホログラムの技術を活用して、画像を空中に浮遊させて表示し、この像に指で触れて操作できる「DNP非接触ホロタッチパネル」(以下、「ホロタッチ」)を開発した。

 3次元画像の表現に優れたリップマンホログラムは、画像を記録したフィルムに一定の角度からLEDなどの点光源の光を当てることで、フィルムから離れた空中に画像を浮かび上がらせることが可能。浮遊距離は約50mmまで調整できる。

 ホロタッチは、同技術を活かし、フィルムに描画した操作ボタンなどを空中に浮遊させ、赤外線などで空中の位置を検出するセンサーと組み合せた同社独自のシステム(特許出願済)。軽量でコンパクトなタッチレス入力端末・機器として、既存の情報端末の表面に直接触れることなく、操作可能となっている。

 同社はリップマンホログラムのフィルムを量産できる技術を保有しており、その強みを活かし、2021年度にホロタッチを製品化するという。

 同端末の主な特徴は、次のとおり。

軽量・コンパクトな構成で既存の機器への設置も容易

 操作ボタンなどを描画したリップマンホログラムのフィルムとセンサーなどを組み合わせた構成で、既存の端末・入力機器に後付けで設置するだけでタッチレス機器として活用できる。ホログラムフィルムとセンサーのみの軽量・コンパクトな構成で、大型の設備を導入する必要がなく、低コストで導入できる。

空中での操作がしやすい画面表示

 ホログラムフィルムに記録した2次元の柄(細かい線・点や図版など)を、センサーの検出面と同じ空中の位置に浮遊させて表示することで、手指が触れると反応する柄を目視できる。空中の一定の位置で指を止める動作は難しいといわれているが、同端末では手指に反応する柄を目視できるため、空中での指操作が容易。テンキー・矢印キー・決定キー・キャンセルキーなど汎用的な入力ボタンにすることで利用者の直感的な操作を可能にする。

LEDなどの点光源の光を当てて利用可能 プロジェクターなどの投影装置は不要

 情報端末のディスプレイをそのまま使用して、点光源となるLEDライトなどの光を当てることで画像を空中に表示でき、プロジェクターなどの投影装置は不要となっている。

※なお、センサーで検知したデータを情報端末の制御プログラムに連動させる必要があるため、制御プログラムの作成または変更が別途必要となる。

コンパクトな仕様で場所をとらない

 厚さ0.1〜0.2mm(センサーユニット含まず)のフィルムを使用するため、コンパクトで場所をとらない。フィルムサイズは最大で、紙のA4判(210×297mm)程度まで対応可能。

センサーとフィルムのシンプルな構成(写真左)、厚さ0.1〜0.2mmのフィルムを使用(写真中)、既存機器への設置イメージ(写真右)

センサーとフィルムのシンプルな構成(写真左)
厚さ0.1〜0.2mmのフィルムを使用(写真中)
既存機器への設置イメージ(写真右)

 今後同社は、コロナ禍の非接触ニーズの高まりに対して、店頭受付端末・レジ端末・券売機など既存の入力端末に後付けで利用する企業や団体のほか、端末やセンサーのメーカーなどに「ホロタッチ」を提供していく。空中の高精細な映像をあたかも指で触っているかのように操作でき、店頭のPOPなどに展開可能な「空中ディスプレイ入力端末」の提供(2021年3月発売予定)とともに、生活者が外出時にも安心してさまざまなサービスを利用できる環境づくりを支援していくとのこと。