なぜ受託制作でも裁量が大きいのか クラスターのCGデザイナーとCOOがメタバース制作の勘所を語る

なぜ受託制作でも裁量が大きいのか クラスターのCGデザイナーとCOOがメタバース制作の勘所を語る
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2024/11/07 11:00

 メタバースと聞くと「ゲーム」や「エンターテイメント」領域での活用を連想する人も多いかもしれない。だが、国内最大級のメタバースプラットフォーム「cluster(クラスター)」を運営するクラスター株式会社が現在注力しているのは、メタバースを活用し「企業の課題解決」を行うBtoB領域だ。今回話を聞いたのは、日々クライアントの課題と向き合うCGデザイナー・柴垣圭汰さんと、エンタープライズ部門を立ち上げた取締役COOの成田暁彦さん。クライアントワークで心がけていることやメタバース活用で成果を出すポイント、クラスターで働くことの醍醐味などについて、CG制作とビジネスの両面から語ってもらった。

制作だけにとどまらないクラスターのメタバース構築 強みは「完全内製」

――まず、おふたりのご経歴や担当業務について教えてください。

柴垣 CGに興味を持ち始めたのは、もともとゲームが好きだったからです。現実世界にないことを表現できる点に、魅力を感じていました。新卒ではゲーム会社に入社し、おもに3DCGデザイナーとしてCGデータ制作を行っていました。その後クラスターに転職し、現在は入社して5年目です。10年後、20年後の世の中を想像したときに、コンピュータがこのまま進化していけば経済活動の中心地はデジタル上になっていくだろうと考えていたところにメタバースという概念を知り、「これは楽しそうだぞ」と思ったのがクラスターに転職したきっかけでした。

入社後は、メタバース空間の背景制作を中心に、モーションやエフェクトなども手がけてきましたが、現在はエンタープライズCG制作グループでマネージャーをつとめています。

クラスター株式会社 ビジネスプランニング本部 3DCG統括部 エンタープライズCG制作グループ 柴垣圭汰さん
クラスター株式会社 ビジネスプランニング本部 3DCG統括部 エンタープライズCG制作グループ マネージャー 柴垣圭汰さん

エンタープライズCG制作グループには、約20人のメンバーが所属。細かい役割の違いはあるものの、全員がジェネラリストのように動いています。5~6人で構成される3つのチームを編成し、クライアントの課題や要望に柔軟に応えられる体制を整えています。そうした業務フローの最適化や、新しい技術を取り入れていくための準備、また最近はCGデザイナーの評価制度整備にもマネージャーとして着手しています。

成田 新卒でサイバーエージェントに入社し、12年ほど勤めました。インターネット広告部門に所属したあと、子会社の立ち上げや事業責任者を経験。直近ではサイバーZというスマホアプリの広告に特化した広告代理事業を行う子会社で、営業の統括と韓国・台湾・サンフランシスコのシステム責任者、マーケティング部門責任者などを兼務していました。2019年10月よりクラスターに参画し、BtoB部門の立ち上げを担ったのち、2020年9月より取締役COOをつとめています。

――クラスターのBtoB事業では、どのような要望が寄せられていますか?進行時の体制とあわせてお聞かせください。

成田 顕在化していない漠然とした課題をメタバースによって解決してほしいといった依頼が多いです。「海外拠点が多く企業として一体感をつくることが難しいから、バーチャル上で集まれる場所を用意したい」「すでにCMなどによって認知度も高い商品で、今までとは異なるタッチポイントをつくりたい」などの要望もありましたね。

またクラスタ―では、会場のセットをバーチャル空間で構築し、ゲストを呼んでイベントを開催するケースもありますが、その際は運営までサポートすることも多いです。バーチャル空間やエフェクトの“制作”だけに留まりません。

クラスタ―株式会社 取締役COO 成田暁彦さん
クラスタ―株式会社 取締役COO 成田暁彦さん

柴垣 プロジェクトは、プランナー、ディレクター、CGデザイナーという3つのセクションが協力して進めていきます。プランナーが営業と要件を揃え、ディレクターが具体的にどのように実装するのかを調整。それをもとにCGデザイナーが開発するというのが基本の流れです。その際、CGデザイナーがCGの負荷や実現可能性を判断し、お客さまに提案することもあります。

成田 また案件によっては、テクニカルアーティストなどが加わるケースもあります。こういった多様な技術を持ったメンバーが所属しているため、完全に内製できる点がクラスターの強みです。