ロフトワークが“クリエイティブ・カンパニー”である理由
ロフトワークは、自らを「クリエイティブ・カンパニー」と名乗る。制作会社でもエージェンシーでもなく、なぜ「カンパニー」なのだろうか。
そう尋ねると、同社のレイアウト部門で事業責任者をつとめる松井創さんが説明してくれた。2012年に加わって以降、2014年に誕生したコワーキングスペース「KOIL」、ヤフー株式会社がオフィス移転にともない2016年にオープンしたオープンコラボレーションスペース「LODGE」、2018年にパナソニックが創業100周年を迎えることを機に構想が始まった「100BANCHプロジェクト」などのプロデュースを担当してきた人物だ。
「ロフトワークで取り組むプロジェクトは、企業から持ち込まれた課題を解決することもあれば、社会へ新しい代替案を投げかけるプロジェクトもあります。そのため、『何色がいいのか』といった表面的な部分ではなく、本質に迫っていくような案件が多いですね。
ロフトワークでは自分たちだけではなく、デザイナーやアーティストといった外にいるクリエイティブな才能をもった人たちと、一緒に案件を進めています。ロフトワークの中で完結しなくていいし、内製化しなくてもいい。外の人たちとコラボレーションしながら取り組んでいく集合体という意味で、クリエイティブ・カンパニーと言っています。依頼を受けて答えを導くのではなく、クライアント、もしくはさまざまなクリエイターと一緒にチームを作り取り組んでいるカンパニー、つまり『仲間』なんです」
松井さんと同じレイアウト部門で、クリエイティブディレクターをつとめる宮本明里さんは、都市計画のコンサルタント会社を経て、2018年にロフトワークにジョインした。携わるプロジェクトは多岐にわたり、クリエイティブディレクターが担うべき範囲も広いが、そこに宮本さんは惹かれたようだ。
「『何を作るか』というところから一緒に考えられる会社って、なかなかないなと思ったんです。レイアウト部門は、空間プロデュースとも言っていますが、ロフトワークの事業領域自体は空間以外にもたくさんあるので、空間だけに閉じる必要もないというか。だからこそロフトワークでは、『何のために何を作るのか』を考えることからがデザインだと捉えることができる。ものの見えかたの良さだけではないんですよね」