B向けだからこそ「別物」にならないように 急成長するクラウドサインでデザイナーが心がけていることとは

B向けだからこそ「別物」にならないように 急成長するクラウドサインでデザイナーが心がけていることとは
  • X
  • Facebook
  • note
  • hatena
  • Pocket
2021/05/18 08:00

 行政手続きにおける押印廃止などでも注目を集める電子契約。2015年10月よりサービスを提供しているのが、弁護士ドットコムが運営するWeb完結型クラウド契約サービス「クラウドサイン」だ。2019年7月には導入企業数が5万社に到達したのち、新型コロナウイルスの感染拡大による在宅勤務への移行・拡大もあってか、約1年後の2020年8月には10万社を突破。1年間でその数は2倍となった。そんなクラウドサインでデザイナーをつとめる笛田満里奈さんに話を聞いた。BtoBサービスだからこそ意識していること、印象深い出来事、現状の課題とは。

国際問題への興味がデザインと結びついた瞬間

――まずは、笛田さんのご経歴から教えていただけますか?

もともと紛争解決や環境問題といった国際関係や、どのように情報を発信していくかといったメディアに興味があったため、入学したのは情報系の学部です。

それまで意識していなかったデザインとの出会いは、大学2年生のはじめごろ。海外研修でフィンランドを訪れる機会があり、絵を描くことが好きで北欧デザインにも興味があったことから食器ブランド「iittala」の工場へ行きました。そこでデザインで社会を変えていくという思いを持っていることや、今から10年ほど前にも関わらずサステナブルデザインへの意識が高いことにとても感銘を受けたんです。

子供の頃から絵を描くことは大好きだったもののそれを仕事にしていけるイメージがなかったのですが、デザインであればそういった課題解決にも携われるのではないかと気づきました。そこでメディアよりもデザインの勉強をしたいと思い、プロダクトデザインに携わっていた教授の研究室に入りました。

デザインに関わる仕事をと思い最初に入社したのは、ベンチャーの玩具メーカーです。商品企画や工場とのやりとりなどを担当したのち、パッケージデザインなども行いました。その会社にはインターンの時期を含め2年ほど在籍していたのですが、会社自体の解散が決定したため転職活動を始めることに。玩具メーカーで行っていたパッケージデザインが楽しかったので、次もデザイナーとして働きたいと思い、ウェブやイベント、出版物などあらゆるアウトプットに携わることができる広告制作会社に入社しました。

制作会社では受託の仕事がメインで、ひとつの制作物に長く携わりづらいことに寂しさを感じるようになったときに、大学時代にフィンランドで「社会のためにデザインを活用できる」と教えてもらったことを思い出したんです。改めてそういった領域で仕事がしたいと思い直し、転職活動を始めました。

制作会社にいたときに2回ほど転職を思い立った機会があったのですが、そのどちらでも名前が挙がっていたのが「弁護士ドットコム」でした。2回目の出会いのときに会社についてしっかり調べてみたところ、法律トラブルで悩みを抱える方と弁護士の先生方をつなぐポータルサイトの運営など、直接困っている人に手を差し伸べることができるサービスである点に感銘を受け、選考を受けることに。私はクラウドサイン事業本部配属として面接に進むことになりました。

これまで、「電子契約」という分野での知識や関わりがほとんどないことから不安もあったのですが、もともと興味があった紛争解決や環境問題との共通点があることに気づきました。それは、自分たちから遠いテーマをいかにわかりやすく伝えるか、それをどうやって表現として社会に伝えるかということです。一見難しそうな「電子契約」もデザインを通して身近に感じてもらうことは私のやりたいことでもあるのではないかと思い、2018年10月にクラウドサインのデザイナーとして入社しました。

※この続きは、会員の方のみお読みいただけます(登録無料)。