デザイン領域が拡大する――新しいUXデザインのひとつ「VUI」の進化がもたらすユーザー体験とは

デザイン領域が拡大する――新しいUXデザインのひとつ「VUI」の進化がもたらすユーザー体験とは
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 今回は「VUI」についてお伝えします。解説するのは、デジタルプロダクション「factory4」でアプリやさまざまなIoTプロジェクトのUIUXデザインを手がける新谷友樹さんです。

 こんにちは!株式会社Cosmowayが組織するデジタルプロダクション「factory4」のUIUXデザイナー新谷です。今回は私たちの身近なテクノロジー、サービスとなりつつある「VUI」について、この先どのような影響を及ぼすのかをUIUXデザインの視点から考察していきます。

Voice User Interfaceとは

 まず「VUI」とは何かと言うと、「Voice User Interface(ボイス・ユーザー・インターフェース)」の略です。

 AIを活用して、声によるインターフェースや音声を認識・理解して質問に答えたり、テキストを音声に変換して返信することで、あらゆる情報のやりとりを行い、コンピューターと人との対話を可能にします。人にとって自然なコミュニケーションである「声」を使ってコミュニケーションを行う、身近な中での最新テクノロジー分野のひとつです。

 たとえばスマートフォンやスマートスピーカーに代表されるように、音声でのアシスタント機能搭載の端末が普及しはじめ、画面上でのタッチインターフェイスに加えて、音声入力のインターフェースも登場してきました。

 これにともない、“デザイン”が及ぶ対象の領域も、画面だけではなく音声も含めた体験全体へと拡大してきています。

生活に浸透し始めた「VUI」

 人が使う「自然言語」は、機械学習の進歩により文脈に合わせて適切な会話を理解し、反応することが可能になってきました。

 VUIもさまざまなシーンで活用されています。街でVUIが搭載されたロボットやスマートスピーカーなど、AIで自動応答するシーンを見かける機会も増えてきています。スマートフォンに搭載されたAIアシスタンスの精度向上やワイヤレスイヤホンの普及なども、AIを相手に会話する行動を促進している要因のひとつだと考えられます。

 身近にあるVUIの代表例としては、iPhoneの「Siri」やAndroidの「Googleアシスタント」、スマートスピーカーではAppleの「HomePod mini」やAmazon「Amazon Alexa」などがあります。

 電話をかける、アラームやタイマーを設定する、地図など目的地への道順をナビゲーション、天気や交通情報を調べる、音楽を再生する、部屋の電気をON/OFFするなど、数多くのアクションで、わたしたちユーザーをサポートしてくれます。

VUIの優れている3つの特徴

1. テキスト入力よりもスピーディー

行いたいアクション、伝えるテキストの内容や長さにもよると思いますが、モバイル端末での音声入力のスピードはテキスト入力より早いため、より素早くアクションすることができます。

日本語でのテキスト入力では、漢字やカタカナ、全角半角などの複雑な入力や変換があるため入力速度に差がありますが、音声入力はテキスト入力での複雑な操作や検索の手間を減らし、瞬時に操作することを可能にしてくれます。

2. ハンズフリーでも操作可能

画面をタップするなど基本的には手を使わなくても入力ができるので、継続的にタッチできない、または離れた場所にある場合などでも対応できます。音声入力に置き換えることで、車の運転中や手が濡れていてタッチしづらい料理中でも操作が可能です。私も料理中のタイマー設定などで使用しています。

物理的な側面でいくと、スマートフォンやスピーカーに限らず、冷蔵庫に音声機能が追加されたスマート冷蔵庫なども数多く登場してきています。

3. 学習コストがかからない

普段から行っている「人との会話」に限りなく近いため、基本的にはスマートフォンやPCのテキスト入力やスワイプ操作などと比べて学習コストが低いです。音声で語りかける状況に慣れてしまえば、とてもスピーディーに入力操作をすることができます。

 ユーザーがすぐに使いかたを学習できるということは、操作の迷いを減らすことができるので、初めて操作する際の障壁を下げることが可能です。

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