はじめまして。株式会社D2C R クリエイティブプランナーの北澤康成です。前回の記事では「クレジットカード」にスポットを当て、運用型広告のクリエイティブづくりについてお届けしました。今回フォーカスするのは「ソーシャルゲームのキャラクター」。キャラクターを活用し、広告効果を高めていくための3ステップについてお話しします。
ステップ1:属性の因数分解
キャラクターには必ず「属性」が存在します。火属性、水属性などもそうですが、外見、内面、設定といった構成要素としての「属性」について、キャラクターにどのようなものが備わっているのかを徹底的に洗い出すことがファーストステップです。
属性の具体例
- 外見の属性:髪の色、肌の色、目の色、ケモノ系、服装、背丈、体格など
- 内面の属性:ツンデレ、ヤンデレ、クール、熱血、3枚目、ドジっ子、無口、天然、優しい、腹黒いなど
- 設定の属性:職業、生い立ち、種族、主人公との関係性、物語の役割など
これらはほんの一例であり、膨大な数の「属性」が存在します。そして「キャラクター単体」というフレームからそのキャラクターを構成する各要素を分解し、とくにインパクトが強い属性に着目することが大切です。キャラクターの特徴的な点がどこにあるかを感がる際には、次のような点に注目すると良いでしょう。
- キャラクターを見たときに真っ先に感じる印象
- そのキャラクターを一言で表すなら?と言われてパッと浮かんだもの
- (声優さんがいる場合)どういった特徴を演技で強く表現しているか
このような観点でキャラクターを見たときにすぐに思い浮かぶ要素が、強い印象を与える属性であることが多いです。
当然のことながら、実際の人物にも外見的・内面的な要素は数多く存在し、それらをもとに、洋服や家具をそろえたりするでしょう。まさにこの因数分解は、「その人ならではの個性」を演出するために欠かせない要素を発見するということなのです。
ステップ2:ユーザーの因数分解
さて、キャラクターの属性や、なかでもインパクトのあるポイントについてピックアップしたあとに大切なのが、「ユーザーの因数分解」です。
ゲームキャラクターと同じように、ユーザーにもさまざまな「属性」があります。あるキャラクターを見たときに、何を感じ、何を求め、何を期待するのかは千差万別。そういったユーザーの要素を深く考えずに、「美少女ゲーム好き」「RPG好き」といった大枠でユーザーを想定するのは、広告効果の低下や停滞を生み出す原因になりかねません。
「成人男性」、「小学生」といった大枠だけでプレゼントを贈るより、その人の個性や好みをもとに選んだほうが何倍も喜んでもらうことができますよね。それと同様、ユーザーの属性を知りその解像度を上げていくことは、キャラクターの魅力、ひいてはゲームの魅力を適切に伝えるために不可欠な作業なのです。
たとえば「美少女ゲーム好き」という属性をもとに考えるときは、次のような形で詳細を探っていきます。
- 具体的にどのような美少女ゲームのどういった部分が好きなのか(設定、キャラのビジュアル、ゲーム性など)
- 設定が好きだとすると、どのような点に興味をそそられるのか
- ビジュアルに魅力を感じるならば、具体的に惹かれる部分はどこなのか
- ゲーム性で好きな部分はどういったところなのか
こうした視点でユーザーに向き合い、趣味や嗜好、興味のツボ(属性)を持っているかを徹底的に洗い出します。
ある程度の数を挙げることができたら、なぜそうした属性を持っているのかについて考察していきます。
- クールなキャラクターの性格に惹かれる理由は、ふとした時に弱みを見せる姿に「自分が守らねば」という意識がわくから。
- 銀髪のキャラクターが好きな理由は、ミステリアスさだけでなく、類似する銀髪キャラクターの持つかわいらしい一面を想起しているから
このようにユーザーが「なぜその属性を持つに至ったのか、なぜその属性に惹かれるようになったのか」をひたむきに掘り下げていくことが大切です。
ここでのポイントは、とにかく人を観察すること。ソーシャルリスニングから知人に話を聞くなど、あらゆる形で人に触れ、人を見つめ、人を知ることがユーザーを因数分解する上で欠かせない要素だと考えています。頭の中で考えた架空のユーザー像にすがらないよう、さまざまな切り口や角度からシビアにユーザーの心理を紐解く姿勢が問われます。
それによってユーザーの心が動くロジックが見えれば、ステップ1で発見したキャラの属性の見せかたや、コンバージョンへのつなげかたが見えてくるでしょう。そこまでくれば、あとは最後のステップで適切な「表現の型」を検討するのみ。
次は、具体的なキャラクターを設定し、表現の型を決定するプロセスを紹介します。