昨今のマーケティング手法は、イベントや広告だけでなくメールマガジン、コンテンツマーケティング、SNSを使ったマーケティングなど多岐にわたっています。しかし、施策に対して効果が出ているのか、きちんと測定している企業は意外と少ないかもしれません。
効果測定は、マーケティングを実行するにあたって極めて重要な取り組みといえます。では、どのように効果測定を行えばいいのでしょうか。効果測定が必要な理由や具体的な方法のほか、マーケティングにおける重要な指標やうまく測定するためのポイントについて解説します。
マーケティングにおける効果測定とは、施策にかけた労力をに対する効果を明確にすること
マーケティングにおける効果測定とは、何らかの施策に対してお金や労力をかけた結果、どんな効果があったのかを数値などにより明確化することです。中でもよく利用される効果測定の対象のひとつとして、広告が挙げられます。テレビや新聞などの広告もありますが、昨今ではWebマーケティングが主流となっているため、インターネット広告が代表的な効果測定の対象となります。
Webマーケティングではさまざまな戦略や施策が講じられますが、当然ながら実際にテストしないと評価ができません。また、テストをしたとしても、「こんな結果が出ました」で終わりだと、丁寧なマーケティングとはいえないでしょう。そこで、効果測定が重要となるのです。
もしAパターンのインターネット広告を出稿した場合、Bパターンの広告と比較して効果があったのか、しっかり測定する必要があります。効果測定をすることで、戦略を立て直したり、施策を改善したり、広告のパターンを変更したりすることができ、結果としてマーケティングのコストパフォーマンスを向上させることにつながるのです。
マーケティングにおける効果測定の方法
施策に対してお金や労力をかけた際の効果を明確にすることが、マーケティングにおける効果測定であると説明してきました。では、この効果測定は、どのようにして行えば良いのでしょうか。具体的な流れを、3つのステップに分けてご紹介します。
1. 目的を明確にする
はじめに、マーケティング施策の目的を明確にしておきましょう。具体例としては、「製品やサービスの認知度の向上、ブランディング」「自社Webサイトへの新規訪問ユーザーを増やす」「資料請求や問い合わせの件数を増やす」「契約数・成約率アップ」などが挙げられます。目的が曖昧な状態だと、正しい効果測定を実施できません。
2. KGIやKPIを設定する
あらかじめ決定した目的をベースに、KGIやKPIを設定します。KGIとはKey Goal Indicatorの略称で、日本語でいうと「重要目標達成指標」という意味。マーケティング施策の最終的な目標を数値で表した指標です。「自社Webサイトへの新規訪問ユーザー数を、1ヵ月あたり◯◯人まで増やす」など、具体的な数値に落とし込みましょう。
一方、KPIはKey Performance Indicatorの略称で、「重要業績評価指標」という意味です。KPIは、KGIを達成するために必要な指標を数値化したもの。例えば、KGIを「自社Webサイトへの新規訪問ユーザー数を、1ヵ月あたり◯◯人まで増やす」にした場合、KPIとしては「Twitterのフォロワー数を◯◯人にする」「Webサイトに新しい記事やコンテンツを◯◯個追加する」などが考えられます。ただしKPIは、KGIへの影響度合いが高い指標を選ばなければなりません。
3. 費用対効果を確認する
KGIとKPIを決めたら、マーケティング施策を実行しましょう。結果として数字が出てきた後は、マーケティング施策にかけた費用や労力に対し、どれくらいの効果があったかを分析します。
「マーケティング施策Aは、費用をかけたがそれほど効果が出ていない」「施策Bは、あまり費用をかけていないが予想以上の効果があった」という傾向が把握できれば、「施策Bにもっと予算をかけよう」「施策Aは中止すべき」などの判断が可能です。
代表的なマーケティングの指標
マーケティングにおいては、重要な指標がいくつかあります。ただし、マーケティング施策の目的によって、重視すべき指標は異なるので注意が必要です。ここでは、代表的なマーケティングの効果測定のための指標を5つご紹介します。
ブランド認知率
ブランド認知率とは、「そのブランドが世の中でどのくらい知られているか」「市場の中でどの程度浸透しているか」を測る指標です。現状の認知率を把握できれば、シェアを拡大するための戦略を立てられます。 認知は購買行動の第一段階であり、マーケティング施策を改善するための有効な指標といえるでしょう。
クリック単価
クリック単価とは、ユーザーがWeb広告を1回クリックした際に発生する費用のことです。
例えば、広告費が5万円で、広告が1,000回クリックされた場合、1クリックあたり50円の費用がかかっていると計算できます。クリック単価を指標にすれば、Web広告における費用対効果を確認できるでしょう。
トランザクションコンバージョン率(TCR)
トランザクションコンバージョン率(TCR)とは、ユーザーがWeb広告などをクリックしてアクセスした後に商品やサービスを購入した確率です。ユーザーが検索したキーワードに合わせて表示されるリスティング広告や自社Webサイトの効果を確かめるためにも、しっかり把握しておきたい指標のひとつです。
ROAS
ROASとはリターン・オン・アドバタイジング・スペンド(Return On Advertising Spend)の略で、直訳すると「広告費用対効果」という意味です。ROASとは、広告費に対してどれだけの売上があったかを測るための指標です。ROASを把握できれば、「どの媒体を選べばいいか」「コンテンツやデザインをどう見直すか」など、改善を進めるための判断ができるようになるでしょう。
直帰率
直帰率とは、Webサイトを訪れたユーザーのうち、1ページしか見ずにそのままサイトから離脱してしまった割合です。滞在時間やPV数に比べて、明確にWebサイトの効果を把握できる指標といえるでしょう。
マーケティングの効果測定で取り組むべき2つのポイント
マーケティングの効果測定をスムーズに行うには、どのようなコツがあるのでしょうか。ここでは、マーケティングの効果測定を行う上で押さえておきたいポイントを2つご紹介します。
MAを導入する
MAとはマーケティング・オートメーション(Marketing Automation)の略で、マーケティング活動を仕組み化して支援するためのソフトウェアです。MAには、ユーザーの行動分析やメール施策の効果、Web広告のアクセス解析など、Webマーケティングの効果測定に役立つ機能が実装されています。 現在のマーケティングは、多くの施策がWeb上で行われているため、効果測定を正しく行うにはMAの導入が必要不可欠といっても過言ではありません。
MAとSFAを連携させる
SFAとはセールス・フォース・オートメーション(Sales Force Automation)の略で、日本語でいえば「営業支援システム」です。具体的には商談内容や受注状況など、営業活動における情報全般を管理して分析します。一方、MAは、見込み客を育成し、商談へのプロセスを管理するツールです。ですから、MAだけでは受注、売上、利益までのプロセスを把握できません。
マーケティングの施策が、結果としてどれくらい売上や利益に貢献したのか、それを把握するためにはMAとSFAを連携させる必要があるのです。
ツールをうまく使いながら、適切な効果測定を
マーケティングにおける効果測定の意義や方法、重要となる指標、必要なシステムについて解説してきました。
Webマーケティングにおいて、効果測定は非常に重要です。施策ごとに効果測定を行い、細かくテストを繰り返していけば、自ずと成果も上がっていくはず。MAやSFAなどのツールもうまく使いながら、適切な効果測定を行っていきましょう。