複数チームで一貫したプロダクト開発を行う仕組みとは<プロダクトデザイン編>

複数チームで一貫したプロダクト開発を行う仕組みとは<プロダクトデザイン編>
  • X
  • Facebook
  • note
  • hatena
  • Pocket

 2021年までは分権型の組織だったものの、2022年から集権型のデザインチームを立ち上げたGMOペパボ EC事業部。本連載では同社が開発・運営するSaaS型ECプラットフォーム「カラーミーショップ」のシニアデザインリードをつとめる山林 茜さんが、デザイン組織としての取り組みや、デザイナーの育成方法などについて解説します。今回は「プロダクトデザインにおける一貫性を保つ仕組みづくり」がテーマです。

 こんにちは。GMOペパボ EC事業部のシニアデザインリードの山林(やまりん)です。最近めっきり寒くなり、鍋の回数が増えてまいりました。おいしいですよね、鍋。

 今回はSaaS型ECプラットフォーム「カラーミーショップ」のプロダクトデザインにおける一貫性を保つ仕組みづくりについて紹介します。

 一貫性のあるプロダクトは、ユーザー体験と生産性を向上します。プロダクト内の同じ情報や機能をパターン化することで、ユーザーの学習のサポートおよび予測可能性を高めることが可能です。その結果、ユーザーはストレスなくプロダクトを利用できるようになります。

 またUIコンポーネントやコーディングスタイルをパターン化することで、デザイナーやエンジニアは開発プロセスを効率的に進行しやすくなります。これにより、改善や新しい機能追加を素早く実装できるようになります。

複数チームでひとつのプロダクトをつくることの難しさ

 プロダクトにおける一貫性をもつことの重要さは理解しつつも、複数のチームやメンバーが開発に関わるプロダクトでは、それがとても難しいと感じています。

 カラーミーショップには350種類以上の機能が備わっており、それらの機能を複数のチームで開発・保守をしています。プロダクト開発に関わるメンバーは増員や入れ替えがあるため、全員が各仕様を同じレベルでことこまかに認識できるようにするには大きなコストが生じます。しかし認識がずれてしまうと、ユーザーにとっては同じ情報にも関わらず、異なる表現やUIが使用され一貫性が維持できず、ひとつづきであるべきユーザー体験が上手くつながらなくなってしまいます。一方でスピード感をもった開発を行うためにはチームで分業することが効率的であるため、このような状況を打開するための「開発メンバーの共通認識」となるような仕組みづくりが必要との考えに至りました。

 そこで(まだ道半ばではありますが)、デザインチームが主体的に関わり、次の取り組みを行いました。

  • プロダクト戦略の策定
  • プロダクト全体の一貫性を保つ仕組み
     ドメインモデル、デザインシステム
  • 施策判断の一貫性を保つ仕組み
     リサーチ支援
  • プロダクトデザインの品質を保つ仕組み
     プロダクトデザインプリンシプル、UIチェックリスト、プロダクトデザインChapter

ユーザー、事業、開発者の「三方良し」の戦略づくり

 まずはプロダクト開発に関わるメンバーが同じ方向を向くことができるように、プロダクト戦略の策定を進めました。カラーミーショップのビジョン実現やミッション遂行のためにはどのような戦略にするべきか――。リサーチによって明らかになったユーザーのニーズや課題を可視化し、プロダクトマネージャーと議論しながら形にしていきました。

 現在、プロダクト戦略をもとに管理画面リニューアルプロジェクトを実施しています。また今後はAI活用をさらに強化していくため、戦略もアップデート中です。

※この続きは、会員の方のみお読みいただけます(登録無料)。