実体験から振り返る アプリ開発で実際にやってよかったことと改善すべきだったこと

 「UXというワードをよく聞くようになったけど、実はいまいちピンときていない」。そんな方に向け、UXの“入り口”をテーマに前回からスタートした本連載。最終回となる第4回のテーマは、「アプリ開発におけるUX。運用後の改善が大事」。著者が開発したアプリを例に、そのプロセスや取り組んでよかったこと、改善すべきたったことを振り返ります。

本連載のお品書き

 「UXの入り口」もいよいよ最終回となりました。今回は、フェンリルで実際に企画・開発した旅行アプリ『bitter(ビター)』で、私がデザイナーとプロダクトオーナーを兼務した経験をもとにお話していきます。

 実はこのアプリ、コストと運用の観点から、今年の2月中旬でサービスを終了することになったのですが、そこで得た学びが皆さまの参考になるのではないかと思い、紹介させていただきます。中でも今回は、制作プロセスと、いま振り返ってよかった点、改善した方がよかった点などについて、お伝えしたいと思います。

 bitterは、行ってみたいスポットをサイトから見つけ、それをもとに“旅のプラン”がつくれるアプリです。目玉の機能はこちらのふたつ。

  1. ウェブページのブックマークをスポット(場所)別にまとめておくことができる機能
  2. 登録したスポット(場所)と日程を選択することで旅程を作成できる機能

 自分なりの旅をつくりたいと考えている方が旅の工程やルートをイメージしやすくなったり、行きたい場所を諦めずに訪れることができればと思い、このアプリをつくりました。

 bitterの発想起点は、ビジネスの観点ではなく、自分自身の現体験をもとにしています。そのため「なぜつくりたいのか。なぜつくった方がよいと思ったのか」を掘り下げることから企画をスタート。ユーザー像を明確にすることに重点をおきながら、以下の工程を経てアプリをリリースしました。

戦略段階 0 :旅行アプリをなぜつくりたいかを掘り下げる

ペルソナ手法をもとにユーザーの仮説を立て、「旅行」についてインタビューを行いました。このアイディアが受け入れられるかを検証しました。

要件段階 1:アイディアの検証

ストーリーボード、ビジネスモデル、カスタマージャーニーマップを活用し、ユーザーに与えることができる価値や、ユーザーがこのアプリを使ってどのようなフローで行動するかを検証したり、ビジネスとしてのゴール設定を行いました。

構造段階 3:機能の整理

アイディアをもとにプロトタイプを作成。アプリの機能がどのように遷移していくかを可視化しました。以下が、改善前と改善後の画面図です。

当初は、ウェブページの検索をメインに、導線を設計していました。ですが、他機能への導線がわかりにくくなってしまったため、タブ構造でそれぞれの機能に遷移する形にしました。

骨格段階 4:プロトタイプを使ったユーザビリティテストの実施

プロトタイプツール(Flinto/InVision)を用いてアプリのプロトタイプを作成し、スマホで実際に仮説立てたユーザー像に近い方に操作してもらい、課題を抽出しました。

骨格段階 5:機能遷移図を作成し、機能をどのように伝えるかを検討

構造段階で練った大枠の情報設計をもとに、機能遷移図を作成しました。

表層段階 6:画面デザイン作成

表層段階 7:UI設計書、開発指示書リソース作成

表層段階 8:実装確認

バグや不具合以外にも、文言などが伝わりやすいかを確認しました。

 そして、各段階で抽出されたユーザー体験を検証できるよう、「人間中心設計(HCD)」のプロセスを導入しました。

 HCDプロセスでは、「調査」「分析」「設計」「評価」のサイクルを回すため、ユーザーを正しく理解できる確率を上げ、失敗の確率を減らすことができます。

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