Photoshopおなじみのコア機能をiPhone版で使ってみた
実際に、Photoshopで馴染みのある主要機能の一部をiPhone版で使ってみました。そこで感じた操作や体験の印象についても簡単に触れておきます。

初回画像読み込み時はクイックアクションとして(非表示設定もできます)背景削除や、ベタ塗りなど比較的平易な機能が選択できます。ワンタップで背景が削除できました。
では、多くのユーザーが活用するであろうオブジェクトの削除機能を使ってみましょう。まずはツールを選択し、消したい箇所を指でなぞってみます。

かなりきれいに、かつ違和感なく削除されました。最近ではiOSやAndroidでもOSデフォルトの編集機能としてAI活用の消しゴム機能が搭載されていますが、Photoshopでは選択方法や削除の方法自体がいくつか用意されているため、より細やかな修正ができると思います。
また別の機能も試してみましょう。定形にリサイズした場合背景が足りずに切れてしまう場合がありますが、その補完として背景を生成してみます。

とくに背景に自然の風景が含まれる場合や人や建物などの人工的なオブジェクト要素が少ないケースでは、生成される背景も違和感なくナチュラルに仕上がります。
その他レイヤー機能やペイント、選択ツールといった基本機能についても、既存のPhotoshopユーザーであれば、とくに新たな学習コストをかけることなくそのまま活用できると思います。
デザインワークフローにおけるiPhone版Photoshopの位置づけ
iPhone版が登場したことで、デザイナーのワークフローにはどのような変化が期待できるのでしょうか。モバイル環境での作業がどのようにデザインプロセスに役立つかを見ていきましょう。

1. アイデアをすぐに形にできる機動性
外出先でふと思いついたビジュアルアイデアを、その場ですぐにPhotoshopで加工・編集できるのはモバイルならではの利点です。手描きスケッチやメモとの連携もしやすく、プロトタイピングの初動が加速します。
2. クライアント対応における即時修正
対面ミーティングや現場での打ち合わせ中、クライアントからの修正要望にその場で対応できる柔軟さも魅力です。即座に編集結果を提示できることで、迅速なフィードバックが可能となり、対話の質も向上します。
3. スキマ時間の活用で生産性アップ
移動中や待ち時間などでも、iPhone版を使えば画像の確認や微調整、トリミング、テキスト配置といった軽作業が可能になります。こうした「小さな作業の前倒し」が、結果として全体のワークフローを効率化させます。
4. 場所に縛られない作業スタイル
デスクトップ環境がなくても、ちょっとした修正や確認作業が可能になることで、作業場所の制約が減ります。撮影現場やイベント会場など、PCを広げられないシーンでもPhotoshopの機能を活用できる点は、大きな意味を持ちます。

技術的観点から見たモバイルPhotoshopの実現
iPhone版Photoshopは、限られたモバイル環境の中でPhotoshopらしい機能性を保つため、技術面における工夫も施されています。とくに注目すべき点は次のとおりです。
オンデバイスAIとクラウドAIの使い分け
選択範囲の自動生成などは端末内で高速処理し、画像生成や拡張などの処理負荷の高い生成AI機能はクラウド経由で実行されます。オフライン状態でも編集作業の一部を進めることができ、通信環境が整った場所ではより高度な処理を活用できるようになっています。
こうした構成は、モバイル端末でのパフォーマンスやバッテリー消費、ネットワーク依存度とのバランスを考慮した設計であり、アプリの安定性と快適なユーザー体験の両立に効果的なアプローチといえます。
タッチインターフェースに最適化されたUI
マウスやペンを前提とした従来のPhotoshopと異なり、iPhone版では指によるタッチ操作が快適に行えるよう、画面サイズの制約を考慮しながらも、直感的な操作感のためにさまざまな工夫がなされています。

- タップターゲットの拡大
- スクロール・ジェスチャー操作の活用
- 重要ツールの下部固定レイアウト
指先で正確に操作できるようリデザインされ、頻繁に使用するツールはスクリーン下部に配置。また、スマートフォンならではのピンチイン・ピンチアウトによるズーム操作や、スワイプによるレイヤー切り替えなどが自然に取り入れられています。さらに、複雑な機能も段階的なUIやコンテキストに応じた表示でスムーズに扱えるよう工夫されており、慣れは必要なものの、外出先でも快適に編集作業が行えます。