モリサワは、2020年秋にリリースする新書体を発表した。
本年度は、手書きや活版印刷のニュアンスを持ったあたたかみのある和文書体のほか、ラテンアルファベット、キリル文字、ギリシャ文字、およびベトナム語用文字をカバーするセリフ体の欧文書体が追加。また、人気和文書体にペアカーニングを搭載したAP版も加わるとのこと。日本語のみならず多言語デザインの表現の幅も広げるラインナップとなっている。
フェルトペンのメモ書きのような親しみやすい印象のペン字体「ぺんぱる」、中国晋代の碑文と日本の近代活字を復刻した柔らかなゴシック体「くれたけ銘石(くれたけめいせき)」、漫画の吹き出しや辞書の見出しなどで使用されるアンチック体にインクのにじみ加工を施した「秀英にじみアンチック」、UD黎ミンシリーズとの併記を目的として開発されたセリフ体「Lutes UD PE(リューツ ユーディー ピーイー)」を提供。
また、今回の新書体追加に合わせて、「黎ミン」「新ゴ」「新丸ゴ」のAP版のほか、かな書体「秀英アンチック」と「秀英角ゴシック」の漢字を組み合わせた「秀英アンチック+」も追加され、人気書体の利便性がさらに高まるという。
これらの書体は今秋以降、対象製品を通じて利用可能に。今後、各書体の詳細やリリース日は新書体特設ページで随時発表するとのこと。
なお、フォント管理ツール「FontKeeper2」もリリース。仕事に合わせてフォントコレクションを作成し、フォント環境を効率よく構築、切り替えることができる。
今秋追加される新書体の詳細は、次のとおり。
ぺんぱる
- ウエイト:M
- 文字セット:Adobe-Japan1-3(StdN)
フェルトペンでラフに手書きしたような、親しみやすい雰囲気を持つデザイン書体。フリーハンドならではのユニークな運筆が特徴で、メモ書きのようなスピード感や肉声を想起させる自然な風合いを演出する。一方で安定した骨格を持ち、統一感と読みやすさも兼ね備える。見出しやキャプションに使うことで、柔らかくキャッチーな印象を与える書体となっている。
くれたけ銘石(くれたけめいせき)
- ウエイト:B
- 文字セット:Adobe-Japan1-3(StdN)
中国南京市郊外で出土した晋代の墓誌銘『王興之墓誌』より復刻した漢字書体「銘石」と、森川龍文堂の活字見本帖『活版総覧』から復刻した和字書体「くれたけ」を組み合わせたオールドスタイルのゴシック体。隷書体をベースに彫刻の味わいが加わった書風が、ノスタルジックでありながらも素朴な魅力を演出する。
秀英にじみアンチック
- ウエイト:B
- 文字セット:Adobe-Japan1-3(StdN)
漫画の吹き出しや辞書の見出しなどで使用される書体「秀英アンチック」をベースに、活版印刷による紙面上でのインクのにじみを再現した書体。大ぶりで安定感がある、重厚な明朝デザインのかなに、秀英にじみ角ゴシックの漢字を混植することで、アンチゴチ利用に最適な設計が施されている。線の揺らぎや交差部分のにじみ加工が、レトロで深みのある雰囲気を演出する。
Lutes UD PE(リューツ ユーディー ピーイー)
- ウエイト:Light/Light Italic/Regular/Italic/Medium/Medium Italic/Bold/Bold Italic/ExtraBold/ExtraBold Italic/Heavy/Heavy Italic
- 文字セット:PE(151言語をサポートする独自規格)
「Lutes UD PE」は「UD黎ミン」との併記利用を目的に開発された新しいセリフ書体。デジタルデバイス上での視認性に配慮するため、ローコントラストでありながらもクリアですっきりとした印象のデザインに仕上がっている。同書体はラテンアルファベットに加えてキリル文字、ギリシャ文字、およびベトナム語用文字をカバーする独自規格「PE」(汎ヨーロッパ)の文字セットを採用している。
秀英アンチック+
- ウエイト:B
- 文字セット:Adobe-Japan1-3(StdN)
「秀英アンチック+」は、かなと一部の記号類のみだった従来の「秀英アンチック」に「秀英角ゴシック」の漢字や英数字を組み合わせた。従来のかな書体で必要だった合成フォント作成などのプロセスを通さずに、かな、漢字、英数字をそのままスムーズに打ち出すことができる。
新ゴ(AP版)
- ウエイト:8ウエイト(EL/L/R/M/DB/B/H/U)
- 文字セット:Adobe-Japan1-7(Pr6N)
新丸ゴ(AP版)
- ウエイト:7ウエイト(L/R/M/DB/B/H/U)
- 文字セット:Adobe-Japan1-7(Pr6N)
黎ミングラデーションファミリー(AP版)
- 文字セット:Adobe-Japan1-7(Pr6N)