博報堂、組織開発の効果を可視化する指標を開発 企業のクリエイティブな組織風土づくりを支援

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2020/07/27 05:00

 博報堂の専門組織「博報堂ブランド・イノベーションデザイン」は、組織開発の効果を可視化する指標「Creative Growth Index(クリエイティブ・グロース・インデックス)」を開発したことを発表した。同指標を用いた分析を通じて、企業のクリエイティブな組織風土づくりを支援するソリューションの提供を開始する。

 近年、イノベーションを生み出しやすい組織や、従業員とチームの潜在能力を引き出す組織など、クリエイティブな組織風土づくりへの注目が高まっている。企業のブランディングやイノベーション支援を行う専門組織である博報堂ブランド・イノベーションデザインでも、さまざまなクライアント企業に対して、クリエイティブな組織風土をつくるコンサルティングやインナーブランディングの支援を行っている。

 一方で、こういった活動は、実際にどの程度組織が変わったのかという成果や、何を行えば目指す成果が得られるのかという活動の相関関係を客観的に評価・把握することが難しく、投資対効果の見えにくさから、活動が継続しないケースも少なくないという。

 こうした課題を解決するため、博報堂ブランド・イノベーションデザインは、独自の定量調査に基づき、組織開発に取り組む企業各社が共通で活用できる指標「Creative Growth Index」を開発した。

 同指標では、従業員の意識や組織の実態を測るさまざまな項目を「パーパス・ビジョンに従う行動」「クリエイティブな行動」「関係の質の良さを示す行動」「オープンイノベーションに適した組織風土」「効率や機能優位を重視した行動」「業務評価およびその実感」という6つの指標に整理。各指標の数値を、世の中の基準値や施策前後で比較することで投資対効果を可視化するとともに、指標間の相関関係をもとに「どのような施策を講じれば、どのような成果が得られるのか」、「どのような意識変化を起こせば、どう組織が変わるのか」などの具体的な方針を導き出していくことで、企業のクリエイティブな組織風土づくりを推進していく。

 同組織は、この指標の開発に向けて、2019年から3回にわたり日本の有職者3,000人を対象に定量調査を実施し、従業員の意識・行動とクリエイティブな組織風土の関係性を研究してきた。調査において指標の妥当性も実証しているという。同調査は、「オープンイノベーションを起こしやすい企業風土」「芸術文化と業務パフォーマンスの関係性」などの視点で掘り下げている点も特徴となっている。

 企業全体としての組織の特性をとらえるだけでなく、部門ごとに検討することで意外な個性やユニークな課題を発見していくことも可能。また、「Creative Growth Index」を活用して、大型の広告キャンペーンや周年事業、社屋移転といった大きな活動の前後や経年で分析を行い、変化の推移を把握することも同組織は推奨している。

 Creative Growth Indexでは「オープンイノベーションに最適な企業風土」として、内閣府タスクフォースが提唱した指標(2019)を網羅的に対象とし、そこではクリエイティビティなどとの相関が強く表れることを検証。過去1年以内に「美術やクラシック音楽に触れた人」「名勝日本庭園を訪れた人」の勤務する企業は、クリエイティブな組織風土の形成を通じ、事業パフォーマンスに貢献していることを統計的に有意な水準で実証している。

 このほか働く人のファッションスタイルや、自身のキャラクター認識、食生活の嗜好性とクリエイティブな組織風土の関係についても検討するなど、企業経営における具体的なヒントを盛り込んでいる。また、調査から同族経営企業の基準値も算出しており、同族経営企業の従業員意識や組織の実態を分析できることも特徴だという。