NTTドコモ・ベンチャーズ(以下、NDV)は、同社が運用するファンドを通じて、ボリュメトリックビデオの編集ツールとストリーミング再生技術を提供するArcturus Studios Holdings, Inc.(以下、Arcturus社)に出資を行ったことを発表した。
ボリュメトリックビデオは、数十台のカメラを用いてあらゆる角度から人や物を撮影し、撮影された被写体の立体的なモデルを3D空間上に再現するとともに、被写体の動きも含め高精度にデジタル化できる技術。近年ではスポーツやエンタテインメントの分野で用いられており、映画、コンサート、テレビコマーシャルなどにおいて、この新しい技術を活用した、これまでにない映像体験が可能となる。
ボリュメトリックビデオは世界中で普及が加速しつつある一方、普及にともないさまざまなメーカー製のカメラや専用装置が用いられ、記録形式や撮影仕様、再生方式などにおける差分が生じている。また作成した映像の活用方法や視聴デバイス・配信先も多岐にわたることから作成~配信の各プロセスにおいて、さまざまな機器や仕様に応じたきめ細かい調整が必要となっている。
Arcturus社はボリュメトリックビデオを編集・配信するための統合プラットフォーム「HoloSuite」を提供しており、こうした各プロセスの効率化を実現する。同プラットフォームは、映像の編集と圧縮のために最適化されたツール「HoloEdit」、編集・加工されたボリュメトリックビデオを視聴者のデバイスや通信環境に合わせて自動調整し配信するツール「HoloStream」から構成されている。同プラットフォームの利用により、特定の機材や撮影方式に依存せず、さまざまな場所や機材で撮影された3Dデータを自在に取り込み、編集・加工や新しい動きを加えることができる。またArcturus社の独自技術により、映像の品質を一定の水準以上に保ちながら配信時のビットレートを最適化することができ、高品質なボリュメトリックビデオ映像のストリーミング配信を実現する。
Arcturus社は今後ボリュメトリックビデオが、スポーツやエンタテインメント分野だけではなくEコマース、インタラクティブメディア、ゲームなどでも広く用いられることを期待しており、またAR・VRデバイスやLiDAR搭載スマートフォンの普及により、その勢いが加速していくと予想。こうしたなかで、Arcturus社の提供するサービスおよびテクノロジーは、NTTグループの手掛けるさまざまなサービスやデバイス、5G通信などとの親和性が高いことから、今回の出資に至った。
今後、NDVは、Arcturus社とNTTグループの連携を支援することで、新たな価値創造に向けた取り組みを推進していくという。