東京海上日動と東京海上ディーアール、「災害体験AR」開発 災害リスクをスマホやタブレットで疑似体験

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2021/08/04 05:00

 東京海上日動火災保険と東京海上ディーアール(以下、TdR)は、河川氾濫による浸水や土砂災害が発生した際のリスクを、スマホやタブレットで疑似体験できる「災害体験AR」を共同開発した。

 同ソリューションの提供を通じて、より多くの人に浸水や土砂災害のリスクを身近に感じてもらい、社会全体の防災意識を高めることに貢献していくという。

 両社は、水災のリスクを体感し、防災意識を高め、災害発生時に適切な行動をとってもらうため、河川氾濫による浸水や土砂災害が発生した際のリスクをスマホで疑似体験できる「災害体験AR」を開発した。

 同ソリューションは、AR技術を活用しており、スマホのカメラ機能を通じて水災発生時の浸水や土砂災害の状況を可視化。QRコードを読み取ることで体験することができる。

 同ソリューションの主な特徴は、次のとおり。

  • TdRが全国から収集した国管理河川の想定浸水深を地理情報システ(GIS)上で集約し、TdRが独自に整備したハザードマップ情報と連携。
  • 2015年5月に改正された水防法(洪水や高潮等を警戒・防御し、被害を軽減することを目的として1949年に施行された法律)に基づき公表された想定最大規模(1000年以上に一度の最大規模の降雨)と河川整備計画の基本となる計画規模(一級河川の主要区間で概ね100年~200年に一度の降雨)の両方をAR体験可能。
  • 日本全国を対象としており、全国どの地点でもリスクを可視化できるため、離れて暮らす家族のリスク確認にも活用可能。

災害体験ARのコンテンツ

洪水

「地点を設定して体験」モード

 現在地で想定される浸水深をGPS機能で自動抽出し、その地点のリスクを可視化。ユーザが地図上で任意の地点を設定することも可能。

「深さを設定して体験」モード

 ユーザ自身が水深を設定し、リスクを疑似的に可視化。浸水の深さは、30㎝・50㎝・1m・2m・3mで設定可能。

土砂災害

「地点を設定して体験」モード

 現在地で想定される土砂災害をGPS機能で自動抽出し、その地点のリスクを可視化。TdRが独自に整備したハザードマップの「土砂災害警戒区域」と「土砂災害特別警戒区域」に基づく。ユーザが地図上で任意の地点を設定することも可能。

「災害を選択して体験」モード

 崖崩れ、地すべり、土石流の3種類の土砂災害について可視化。

グローバル展開

 日本企業が多く進出しているタイにおける浸水深を可視化できるため、海外進出企業の工場や従業員の自宅におけるリスクも把握することが可能。European Commissionが有する研究機関であるJoint Research Center(JRC)が提供するData Catalogueに基づき取得した洪水による浸水深を活用している。今後のニーズに応じて、タイのみならず、グローバルベースで展開していく予定だという。

災害体験 AR 画面イメージ
災害体験 AR 画面イメージ

 「災害体験 AR」では、コンテンツ内に同社公式ホームページ「あしたの笑顔のために~防災・減災情報サイト~」へのリンクを作成。同サイトでは、災害が発生した場合に必要な行動や、災害から自分や家族を守るために準備しておくべきことなどを紹介している。

 今後の取り組みとして、「災害体験 AR」は、小学生の防災教育ツールとしての活用や自治体や企業と連携した住民への提供、スマートシティでの活用を進めていく。また、21年8月以降は、同社公式ホームページや同社独自のモバイルアプリ「モバイルエージェント」を通じて広く展開していく予定とのこと。