AIの活用による創造性の発展に取り組むQosmo代表の徳井直生氏は、人間とAIの共演による音楽創作の可能性を探求するAI DJ Projectの進化形である『AI DJ Project#2 Ubiquitous Rhythm』を発表した。今回の発表に先駆け、10月27日〜28日にかけてルーマニアで開催されたIAA主催のイベントCreativity4Betterにて、AR技術を駆使したオンラインパフォーマンスを世界初公開しました。同社はその様子を収録したビデオと、同システムの制作者かつ演者である徳井氏本人が解説したメイキングビデオを公開した。
AI DJ Projectとは
同プロジェクトの初期バージョンは、2016年前後からAIと人間が交互に曲をかける「バック・トゥ・バック」のスタイルでDJを行なうプロジェクトとして、現役のDJである徳井氏によって開発された。深層学習を使った選曲アルゴリズムを使って曲を選択するシステムを使い、これまでに世界各地でパフォーマンスを行ってきた。
今回その発展形として発表されたAI DJ Project#2では、事前に楽曲を用意することなくその場でAIによって生成された楽曲を用いてDJを行うという、格段に即興性の高いパフォーマンスにチャレンジ。具体的には、リズムパターンとベースラインを生成するAIモデルおよび「上モノ(リズムとベース以外のパート)」のループを選択する3つのAIモデルをアナログシンセサイザーに接続し、ターンテーブルやミキサーを通じて、人間とAIが相互に反応しながらリアルタイムに音楽を作り上げていくシステムを確立した。
これらのAIモデルは徳井が近年研究を重ねた結果として、音楽制作シーンなどで利用可能なAbleton Liveのプラグインとしても一般公開している。
今回公開するパフォーマンス映像と解説動画について
10月27日〜28日開催のIAA主催イベントCreativity4Betterにて世界初公開されたAI DJ Project#2のパフォーマンスにおいては、Dentsu Craft Tokyoのテクニカルチームの協力によりAR(拡張現実)技術を用いて、DJの目の前の空間に仮想的に表示されるインタフェースに、AIモデルが生成するシーケンスや選択されたループがリアルタイムに可視化されていく。DJの背後には、音楽の展開に合わせて、オーディオを可視化するビジュアルが表示され、パフォーマンスの雰囲気を高めている。
今回リリースされるのは前述のパフォーマンス本編のダイジェスト動画に加え、演者である徳井氏が同ビデオの技術的背景と、パフォーマンス中のAIとのインタラクションから感じたことを解説するメイキング動画となる。