製菓・製パン材料、器具専門店の富澤商店は、特許AI技術によるデータ分析でソーシャルメディアマーケティング支援などを提供するAIQと業務提携契約を締結し、次世代ソーシャルコマース事業を開始した。
両社は昨今のデジタルシフトとデジタルコミュニケーションの変化にいち早く対応し、カスタマージャーニーの変化、Cookieの終焉とLTVへの注目、さらにはSNSでの体験価値の向上など、さまざまなマーケティング課題へ挑戦する「次世代ソーシャルコマース」を提供する。
AIQの特許AI技術により富澤商店のSNS上のやりとりを分析。“興味・関心”の動向から満足感の高い商品にリーチする最適な購買経路を明確化することで、売り手からの「一方向のアプローチ」ではなく、生活者(消費者)同士のコミュニケーションから生じた安心感のある情報で、信頼性をともなった購買動機を育み、商品購入ができる次世代ソーシャルコマース事業を8月より開始する予定。また、ユーザー同士だけでなく、富澤商店の公式アカウントや商品知識が豊富な実店舗スタッフ、公式ファングループとともに同事業の効果の最大化を図る。
同事業の推進により、ソーシャルメディアによる人と人の「興味・関心」のつながりからLTVの高い潜在・顕在顧客を獲得し、EC売上高対前年比10%増を目指すとのこと。さらに、日本のソーシャルコマース市場活性化を牽引していく考え。
富澤商店はコロナ禍を機にECの販売を大きく伸ばし、会員数も大幅に増加している。自社SNSの利用も活性化しており、TwitterやInstagramのフォロワー数も大きく伸長。さらにエンゲージメント率も大幅にアップしており、強いアカウント形成が確立されている。
富澤商店SNSのフォロワーは、“料理をつくる楽しさによる共感”でつながっているという点で高いロイヤリティを有している。こうした特徴をEC販売にも活かすべく、ソーシャルコマース事業に注目し、同事業のパートナーとして、AI技術による独創的なソーシャルメディアマーケティング支援サービスを提供するAIQと業務提携した。
AIQは、SNS上のユーザープロファイルを可視化できる特許取得済みのAI技術で、Instagram運用支援ツール「Moribus Navi」やインフルエンサーマーケティングツール「Moribus Casting」を開発・提供している。また、個人で活動するインフルエンサーの経済的自立を支援するソーシャルコマースプラットフォームの構築も計画中である。同社の技術は、商品知識が豊富な熱量の高い富澤商店の実店舗のスタッフや富澤商店の商品にまつわる共感力の高いSNSフォロワーをインフルエンサーのように活かせる親和性もあり、富澤商店が目指す「人同士のコミュニケーションで自然な販売につなげるプラットフォーム」の開発に最適な相性だと確信したことから、今回の提携に至った。
富澤商店×AIQの次世代ソーシャルコマース事業の概要
海外(特に中国やアメリカなど)を中心に盛り上がりを見せるソーシャルコマース(またはライブコマース)は、近年日本でも注目されている。しかし、日本におけるソーシャルコマースは、依然として“物を売ること”が前面に出て、SNSでのコミュニケーション特有の「興味・関心でつながる」や「買い物の課題を解決する」は影が薄くなりがちとなり、なかなか定着できずにいるのが現状だという。また、日本はアフェリエイトがそぐわない国民性だとも言われ、昨今では「検索よりもタグでたぐれ」の風潮が強くなっており、広告色のない生活者の生の声が尊重される傾向にある。
これに対し富澤商店×AIQの事業では、購買の前に「合致した興味・関心によるつながり」があることを前提とし、その関係を深めたうえで納得づくで商品購入に至る、日本人の特性に合ったソーシャルコマースプラットフォームを開発・提供する。また、プラットフォームの効果を最大化できるように、公式アカウントやスタッフなどのSNSでの影響力を高める取り組みも推進していく。
SNSから販売につなげる仕組みづくり
全体像
SNSとコミュニティとECがシームレスにつながり一体化した仕組みを構築。AIQが開発した3つのAI技術を活用し、ユーザー個人の興味・関心を分析して富澤商店に合致する潜在顧客を発掘する。また、「誰」の「どの投稿」が購買に結びつけたかを計測してPDCAサイクルを回し、効率的な販売促進を実現する。
- SNS投稿データより属性・興味・嗜好を分析する「Profiling AI」(特許取得済)
- インフルエンサーのオンライン販売力を分析する「販売力可視化AI」(特許出願中)
- ブランド(商品)との親和性の高いユーザーをSNSから発掘する「潜在顧客発掘AI」(特許出願中)
プラットフォーム構成機能
ユーザーやスタッフが集い交流するコミュニティサイト、商品レビューの投稿が可能な「Moribus Community&Commerce」、既存の富澤商店ECサイトの3つで構成され、これらが一体化している点が特徴。
特に「Moribus Community&Commerce」はAIQが新たに開発したシステムで、同事業が初の運用となる。静止画や動画など多彩な表現方法で商品レビュー(紹介)ができるほか、レビュワーへのチャット相談(デジタル接客)やレビュワーとユーザー自身の興味・関心のマッチ度をAIが判定する機能も備えている。コミュニティサイトと「Moribus Community&Commerce」により、双方向のコミュニケーションを活発化し、ユーザーの安心感を高めるほか、困りごとの相談・解決などまでに対応し、納得・共感して商品を購入してもらえる環境を整備する。また、購入商品を使って家族やパートナーに料理やお菓子をふるまったなどの写真や動画を披露する「体験の発信」も同プラットフォームで一元的に行える。情報収集と購買に加え、豊かなライフスタイルを共有する場としても利用することができる。
公式アカウント、スタッフ、公式ファングループの影響力の強化
富澤商店公式アカウントの強化を図り、スタッフの投稿内容やクリエイティブ機能の活用および改善などに着手し、エンゲージメント率の向上と潜在顧客となるフォロワーの獲得を図る。さらに同社には料理の知識が豊富な人材をはじめ、元パティシエなどのバックグラウンドのあるスタッフが多数在籍し、実店舗での顧客満足度の向上に寄与している強みをSNS上でも発信していけるように、AIQのInstagram運用支援ツール「Moribus Navi」を活用。また同ツールで、公式ファングループ「富澤ファミリー」や公式アンバサダーグループ「富澤プレミアムファミリー」に属する人材のSNS運用スキルの向上も図る。
さらに、AIQのインフルエンサーマーケティングツール「Moribus Casting」も活用し、インスタグラムユーザーから「富澤ファミリー」の候補者を発掘するなど、公式ファングループの拡大も目指す。