アドビ、Photoshop(ベータ版)に「生成拡張」を搭載 生成AI機能は日本語を含む多言語に対応

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2023/07/28 07:30

 Adobe Photoshopユーザーに新たなクリエイティブの可能性を提供するため、アドビは2023年5月に、Adobe Photoshop(ベータ版)にAdobe Fireflyの機能を搭載した「生成塗りつぶし(旧称:ジェネレーティブ塗りつぶし)」を導入した。これにより、シンプルなテキストプロンプトを使用して、画像のコンテンツを非破壊で追加、拡大、削除できるようになった。この機能で生成された画像はこれまでに9億枚以上にのぼる。

 そして、Adobe Photoshop(ベータ版)において、生成AI機能が日本語(※)を含む100以上の言語によるテキストプロンプト入力のサポートを開始したことを発表。これにより、世界中のユーザーが好みの言語でテキストプロンプトを入力し、クリエイティブなビジョンを具現化できる。多言語でのテキストプロンプト入力は、まだ開発段階ではあるが、今後多くのユーザーのフィードバックをもとに改良を重ね、開発スピートを加速し、さらなる性能強化を目指す。

 また、新たなAdobe Photoshop(ベータ版)の生成AI機能である「生成拡張(Generative Expand)」が搭載された。本機能は、画像をシームレスに拡張する新しいワークフローで、「生成塗りつぶし」と同じAdobe Fireflyの機能を搭載している。

 「生成拡張(Generative Expand)」の切り抜きツールでクリック&ドラッグ操作をしてアートボードを拡大することで、画像をシームレスに拡大・リサイズすることができる。「生成」をクリックすると、新しい余白がAIによって生成されたコンテンツで埋められ、既存の画像とシームレスに調和する。この合理化されたワークフローにより、ユーザーは生成AI機能を使用したAdobe Photoshopでの制作やアイディア出しを、以前よりも迅速かつ直感的に行うことができる。

「生成拡張(Generative Expand)」の使用例

 「生成拡張(Generative Expand)」機能を使用すると、切り抜きツールでイメージをシームレスに拡張できる。フレーム内に被写体が一部しか写っていない、画像を特定のアスペクト比にしたい、あるいはメインの被写体の収まりを良くするために構図を変えたいような場合、この「生成拡張(Generative Expand)」を使ってアートボードを広げれば、思ったどおりの画像を作成できる。

左:生成拡張の使用前、右:使用後(画像提供:Terry White)
左:生成拡張の使用前、右:使用後(画像提供:Terry White)
)切り抜きツールを選択してオリジナル画像のアートボードの枠をドラッグして広げ、望みのアスペクト比に調整している様子。(画像提供:Jack Taylor)
切り抜きツールを選択してオリジナル画像のアートボードの枠をドラッグして広げ、望みのアスペクト比に調整している様子。(画像提供:Jack Taylor)

 余白にコンテンツを生成する際は、テキストプロンプト入力の有無にかかわらず追加できる。プロンプトの指定なしでコンテキストタスクバーの「生成」をクリックすれば、Adobe Photoshopはオリジナルの画像とシームレスに連続するコンテンツをアートボードの拡張部分に生成する。

 プロンプトを指定してから「生成」をクリックすれば、拡張部分には以下のようにプロンプトの内容を反映したコンテンツが複数バージョン生成され、選択したものが新規の生成レイヤーとして非破壊的に追加される。

 「生成拡張(Generative Expand)」を使えば、レタッチ作業にかかる時間を減らし、できた時間でさまざまなバリエーションを試したり適用したりしながら思いどおりの画像を作成することができる。

 ジェネレーティブAIに関する同社の取り組みについては、この秋にさらにいくつかの新しい発表を予定している。

※:現在Mac版Adobe Photoshopの生成AI機能のプロンプトに日本語で入力をする際、変換を確定させるEnterキーを押すとその時点で生成が始まってしまうという問題を確認しており、近日中に修正のアップデートを行う。