三井住友海上あいおい生命保険は、アクセンチュアと、生産性向上・専門性の高い業務の効率化およびCX(カスタマー・エクスペリエンス)向上などの各分野において、生成AI活用アイディアの実証実験(PoC)と本格導入に向けた開発を協業して進めている。
取り組みの概要
1.「MSAタスカル」をリリース
セキュアな環境下で、社員が日常的に生成AIを活用できる環境「MSAタスカル」を2024年8月にリリースした。一般的なChat-GPT機能に加え、「共通テンプレート機能」によって、一般的によく利用される用途のプロンプト(質問文)があらかじめセットされている。
さらに、社内マニュアルをベースに、社内固有の業務内容について質問できる「照会応答支援システム」の実証実験を実施し、2024年度中のリリースを目指している。
そのほか、親しみやすいキャラクターデザインやキャラクターを育てるゲーミフィケーションを取り入れ、使いたくなるUI/UXを設計している。
2.個別業務への生成AI導入に向けた検討
2023年に生成AI活用のアイディアを社内で募集し、70件以上の応募案件のなかから優れたアイ
ディアを選定し、優先的に実証実験を進めた。
2-1.専門性の高い業務の効率化
保険契約書類の不備チェック に生成AIを活用する実証実験を実施し、各タスクに最適な生成AIモ
デルを選定した。さらに、マルチモーダルモデルを活用することで、人が確認すべき全項目を生
成AIが網羅することに挑戦し、印鑑や筆跡の鑑定についても高い精度で点検できるよう実用化に向けて取り組んでいる。
2-2.CXの向上
CXの向上を目指し、ユーザー向けチャットボットに生成AIを活用する実証実験を実施した。このチャットボットは、個別条件の確認が必要な問い合わせに対して、不足情報の入力を促し、ユーザーの契約状況に合わせた適切なFAQを導出するものであり、実用化に向けて取り組んでいる。
今後
同社とアクセンチュアは、専門性の高い業務や顧客体験の価値向上などの領域において、マルチAIの活用を通じて、取り組みをより一層拡大していきたいと考えている。生成AIに加えて、カスタムAIやそのほかのDX技術、AIを活用したビジネスプロセス変革やビジネスプロセスアウトソーシングなどによって、顧客対応のスピードと品質の向上を目指す。また、両社は、DXの推進およびAI人財の育成において、体制強化に向けた協力を進め、新技術活用に関わる実証実験とシステム開発を推進していく方針。