共感を得られるかはそれほど重要でない ゆめみ・片岡さんが語るユニークな制度と組織づくりの裏側

共感を得られるかはそれほど重要でない ゆめみ・片岡さんが語るユニークな制度と組織づくりの裏側
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2020/06/23 08:00

 デジタルプロダクトやサービスのサービス設計、デザイン、開発、構築、運用までを幅広く支援する企業、ゆめみ。事業活動はもちろんだが、社内における働きやすい環境づくりにも注力している組織でもあり、「チャレンジ取締役制度」や「勉強し放題制度」といったユニークな制度を揃える。では、同社代表の片岡俊行さんに、働きやすい組織づくりについて尋ねた。

組織づくりで最初に定めた唯一のこと

 ゆめみの公式サイトには、「ゆめみの制度紹介」というページが設けられており、そこには勉強し放題制度や野菜支給制度、副業し放題制度など独特な制度が数多く記載されている。片岡さんいわく、そもそもこうした仕組みづくりを始めたきっかけは2018年に遡るという。

「ひとつのプロジェクトを構成するためには、10~15くらいの職種が集まらなくてはならず、扱うプロジェクトが多くなると、専門的な技術者がどんどん足りなくなっていく。組織規模を大きくして事業を拡大していこうと思うと、そのまま組織を拡大するだけではアウトプットの安定した品質と機動力を両立できなくなってしまうのではないか、といった懸念を感じていました。

これを両立するための新しい組織の仕組みを調べていくうちに出会ったのがフレデリック・ラルーの『ティール組織――マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現』という本だったんです。ここで新しい組織のありかたに気づき、2018年の10月に社内に向けて『アジャイル組織宣言』を打ち出し、組織変革を開始しました。多くの企業を参考にしましたが、いちばん大きなヒントになったのは同書でしたね」

株式会社ゆめみ 代表取締役 片岡俊行さん
株式会社ゆめみ 代表取締役 片岡俊行さん

 「ティール組織」とは、フレデリック・ラルー氏が執筆したベストセラー本のタイトルとなっているだけでなく、同書内で説かれた概念でもある。同書では、ヒトにおける心理学的な発達段階のように、組織のありかたにも発達段階があると仮定し、現代における階層型企業がはらむ課題や、それを克服しうる新しい組織モデルのありかたについて考察されている。片岡さんはここから得たヒントをもとに、ルールを変えやすい組織づくりを目指したという。

「たとえ制度を作ったとしても、状況が変わったことでその制度自体が齟齬を生む原因になってしまう、ということがビジネスの現場ではよくあります。制度を作る人は、たいてい経営者や人事。彼らが作った制度がもし“イケてなかった”とき、それを変えるのは大変です。『ルールを気軽に変えるためのルール』が明確になっていないことが、一般的な会社がルールを固定化してしまう原因なのです」

 そんな片岡さんが2018年10月1日に定めたのは、「意思決定プロセスを『助言プロセス』に変える」ということだけ。噛み砕くと、ルールは誰が決めても良いが、必ず周りに相談しなくてはならない、というものである。

「決定したのは考えかたの根本的な転換だけでした。そのあと生まれた制度はいくつもありますが、まずはどんどん作り、上手くいかないようなら修正するようにしています」

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