スピード感を持って進むために プロジェクトの発端は代表・樋口さんが感じていた課題
――まずHameeの事業概要と、宮口さんが担当している業務の内容について教えてください。
Hameeでは、「iFace」ブランドをはじめとするモバイルアクセサリーやIoT製品「Hamic BEAR(はみっくベア)」の開発販売や、ネットショップの在庫や受注、発注を管理するクラウド(SaaS)型ECプラットフォーム「ネクストエンジン」の開発・提供を行っています。
私はウェブデザイナーとして翻訳会社に就職し、制作事務所、建築設計事務所などを経て、2013年にHameeに入社しました。ジョインした当時は、UXデザイナーとしてECサイトのリニューアルなどを担当していましたが、現在はデザインとコーポレートブランディングの責任者をつとめています。
――2020年5月に「ミッション・ステートメント」が新たに策定されましたが、どのような経緯でこのプロジェクトは立ちあがったのですか?
Hameeでは2016年から「クリエイティブ魂に火をつける」をビジョンとして掲げており、その対となるステートメントも以前からあったのですが、長文でとても難解でした。宇宙について言及していたり、社員の大半が腑に落ちていない。何か良いことを言っているのは伝わるけれど、あまりしっくりときていない状態でした。
そういった課題を肌でいちばん感じていたのが、代表の樋口です。会社の規模が大きくなるほど、行きたい方向へ向かうための機動力やスピードがどうしても下がってしまう――。それを解決するために必要なのは、カルチャー、つまり企業文化だと樋口は考えていました。
また私自身も、スマホケースの販売を主力事業のひとつとして行っているなかで、ヒットする商品がとても偏っていることに課題を感じており、新たなビジネスの形をクリエイティブ・ファーム「KESIKI」の石川俊祐さんに相談していました。
そんなタイミングだったこともあり、弊社代表の樋口や取締役もまじえてHameeの課題について石川さんとお話する機会を設けました。新たなカルチャーを醸成するべく、商品やサービスを変えていくのがいいのではないか、と話が進んでいたのですが、さらに議論をしていくと、そもそもミッションが固まっていなければどんな商品やサービスが良いのか決めることはできない、と気づいたんです。
この気づきをふまえ、会社そのものをひとつのプロダクトと捉えて変革をしていこうというプロジェクトが始まりました。構想が生まれたのは昨年2019年の夏から秋にかけてでしたが、実際に始動したのはその年の12月末のことです。
実際にコアメンバーとして関わったのは、プロジェクトを進行する役割の私と代表の樋口、ビジョンをビジュアル化するためのデザイナーなど5名ほどです。このプロジュエクトでは、ミッションに基づいて社員1人ひとりの行動をアップスケールさせるために、リチュアル(慣習)の開発も行いました。KESIKIの皆さんは、カルチャーを変えていくためのプログラム内容の設計からリチュアルの開発までHameeに寄り添う形で伴走していただきました。