着想を得たのは「パラリンピアン」 Zoffのリブランディングで佐藤夏生さんはなにを考えていたのか

着想を得たのは「パラリンピアン」 Zoffのリブランディングで佐藤夏生さんはなにを考えていたのか
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2020/10/14 08:00

 創業20周年を迎える2021年に向け、インターメスティックは、メガネブランド「Zoff(ゾフ)」の新たなブランド戦略「Eye Performance」を打ち出した。今回のリブランディングは、クリエイティブディレクターの佐藤夏生さんが率いるEVERY DAY IS THE DAYと協業、新ブランドメッセージやブランドステートメント、ブランドロゴを制作した。佐藤さんは、前職の博報堂ではエグゼクティブクリエイティブディレクターとして国内外のさまざまなブランディングに携わってきた。今回のZoff初となるリブランディングをどのように進めているのか。その過程で考えていることは――。Zoff内でリブランディングを率いる高島郷さんとの対談形式で話を聞いた。

向き合うべきは「顧客と目」 リブランディングを行った背景とは

───なぜこのタイミングでリブランディングが必要だという判断をされたのですか?

高島 ちょうどZoffが誕生してから2021年で20年周年というひとつのターニングポイントに当たること、自分たちのオリジナリティをどこに見出していくかを探さなければいけなかったことなどありますが、私たちがお客さまや世の中へ提供する価値は何なのか、それを見つけたかったのがいちばんの理由です。

たとえばZoffのロゴひとつとってみても、ウェブや店舗などそれぞれ思いを込めて作ったこともあり、さまざまなロゴが存在していたり、広告においてもZoffとしてのトーンが定まっていなかった。それでは、ブランドとしての見えかたも八方美人になってしまっていました。

数字の面でいえば、この20年で市場は縮小しているなかでも我々はずっと売上を伸ばしているのですが、その理由は店舗の数を拡大していったから。一方、既存店の売上も成長しており、これは客数ではなくて客単価が伸びたから。メインの客層である20代~30代を見てみると、とくにこの7年くらいは客数が伸び悩んでいたんです。全体の売上推移に対して客数が伸びていないということは、良い成長の仕方ではありません。違ったやりかたでいかに成長するかを考えていかなければいけない時期である、まさに今リブランディングが必要なタイミングだと考えました。

インターメスティック CI戦略本部 本部長 高島郷さん
インターメスティック CI戦略本部 本部長 高島郷さん

佐藤 僕が博報堂にいた2013年ごろに2年ほど、Zoffさんとお仕事をさせていただいたことがあったので、つながりはその頃からでしょうか。現在のオフィスの設計も携わらせてもらいました。

高島 実はその当時、佐藤さんに社内向けのブランド動画を制作してもらったんです。昨年の夏ごろ、経営陣と改めてその動画を見たのですが、まったく廃れていなかった。Zoffのオリジナリティを見つけ、それを磨いていくという新しい取り組みのパートナーとして誰に依頼をすべきかを考えたときに、やはり佐藤さんにお願いしたいという思いで、お声掛けさせていただきました。

佐藤 Zoffの皆さんに対してインナー用のブランド動画として制作しましたが、いま見てもブランド戦略になっていると思います。

以前は「ブランディング=広告によるイメージ戦略」でした。いまブランド戦略といえば、商品開発はどうすべきか、店舗はどのようにあるべきか、働いている人のあるべき姿はなにか、それこそダイバーシティとはなにかなど、その会社全体の行動すべて。ブランドは広告だけで作れるものではなく、経営から最終的にECでボタンを押してお客さまの手に届くまで、そのすべてがブランドだという認識も広まっています。

当時僕もそういった考えを持っていましたが、経営からお客さまのタッチポイントまでの360度すべてが一気通貫しているブランディングはなかなかありませんでした。体現していたのは、ユニクロさんくらいだったでしょうか。当時、経営の皆さんとイメージは共有できていたのですが、全社の行動、営みにまで行き着くことは難しい状態でした。

EVERY DAY IS THE DAY クリエイティブディレクター/Co-CEO 佐藤夏生さん
EVERY DAY IS THE DAY クリエイティブディレクター/Co-CEO 佐藤夏生さん

僕はZoffというブランドに対し、マーケットだけでなく、社会に対して価値がしっかりあって、とても良いビジネスだなという印象を持っていたのですが、そんなときに、高島さんと、新しく社長になられた上野剛史さんに「久々に話さない?」と呼ばれたんです。2019年の年末でした。そのときはまだ上野さんは社長になられていないタイミングだったのですが、「次の経営をどうしていくか」といったディスカッションになりました。

───佐藤さんにそのお話をしたころから、「リブランディングをしよう」ということは決めていたのですか?

高島 リブランディングとはいえ、根本にあるものは変わっていません。やはり私たちは小売業ですし、お客さまあっての商売。本当にお客さまのため、世の中のため、生活者のためになっているのか、これからどうやって生活を良くしていくのか――。そういったことを考えるためには、さらに顧客と向き合わなければならないと感じていました。もうひとつは、メガネを販売するうえで、もっと目に詳しくなろうよ、ということ。顧客と目。そのふたつにもう一度向き合おうということは、佐藤さんにお話をする当初から考えていました。

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