「スライムの中にユニコーンとか意味不明でしょ?」フライングタイガーを影で支えるクリエイターに初取材!

「スライムの中にユニコーンとか意味不明でしょ?」フライングタイガーを影で支えるクリエイターに初取材!
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2019/09/11 11:00

 フライング タイガー コペンハーゲンは、北欧デンマーク発のファンライフスタイル雑貨ストアとして、現在30ヵ国・900店舗以上を展開する注目のブランドとして成長を続けている。最近では、同ブランドの商品コピーが、SNS上で大きな話題を集めた。実際にサイトで商品を見てみると、「独特すぎる」「ぶっ飛んでいる」「センスを感じる」「かわいい」「なんか元気が出る」という言葉でユーザーが思わずつぶやいてしまう理由も合点がいくだろう。今回は、そんなブランドのコピーがどんな風に考えて作られているか、話を聞いてみた。聞いたところ、このようなインタビューを受けることはめったにないそうだ。それでも取材を快諾した理由はただひとつ。「フライング  タイガー  コペンハーゲンを愛してくれる人のためにステキな展開になることでしたら、喜んで協力させていただきたいと思います」。フライング  タイガー  コペンハーゲンのコピーはどうやって生まれたのか。このインタビューを通して、どんな人物かを想像しながら読んでほしい。

商品がど真ん中だから余計なものはいらない

――今日はよろしくお願いします。まず、商品コピーのライティングはなにから始めますか?

何もかも、すべてアイテムがあってこそだと思うんですよね。そのアイテム自体が、もうひとつのメッセージ。だからまずはそのメッセージを大事に受け取ることがひとつ。

書くときは一気に書きます。1回始めると6時間くらいはノンストップ。もちろん途中で水分をとったりはします。自分の中のほかのキャラクターが憑依するような感じです。別のことやものを書いたりするときとは別の人格になるので、人に話しかけてもらいたくない時間ですね。

書くときは、このストアでお買い物をしている人の気持ちとか、使っている人の気持ちとか、フライング タイガー コペンハーゲンが大切にしているブランドプロミス「An invitation to a richer life」を意識して集中します。アイテムについてもちろん調べることもありますし、この世の中にある同じような名前の品物が、どんなふうにプレゼンされているかを見ることはあります。

でも、フライング タイガー コペンハーゲンから求められている私の仕事は商品のスペックを伝えることではない。その商品が日常の中で、必要かどうかわからないものってたくさんあるじゃないですか。いらないかもしれないけど、ふと欲しくなってしまう。そんな心がちょっと膨らんでいるような状態を作るのが私の仕事。『それはさておき』の部分をどれだけ膨らませることができるかを考えます。

――商品コピー全体を通して大事にしていることはありますか?

まず前提として、商品そのものの写真が素晴らしいんですよね。最終的にお客さまの目にどんな形で届くか、そのグラフィックを見ます。

そのうえでね、当初からこのフライング タイガー コペンハーゲンは、商品を無理に演出していない。商品がど真ん中にある。それは商品そのものへの愛とか、開発するときの情熱があるから、余計なものを持ち込む必要がないんですよね。だから、見てわかることはなるべく書かないです。うさぎさんが描いてあったら、「うさぎさんです」とは書かない。だけど、「うさぎさんです。でも皆さんお気づきですか?」というように、皆さんの見方をちょっと変えることが添えられるなら、あえて見えているものも書きます。自分が商品を使うお客さまの立場になって、そのアイテムがどのようなシーンで楽しまれ、愛されるかを想像しているから。

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