バーチャル展示会とは? 何ができるのか?
クリエイターの想像力を刺激するバーチャル展示会だが、まずはその定義から見ていこう。広義では、オンライン展示会やオンラインイベントとも呼ばれる一方で、狭義では仮想空間上で開催される展示会ともされる。まだまだ新しい方式のため、統一された定義はないというところだ。バーチャル展示会には、2つの開催パターンがあることも押さえておこう。
バーチャル展示会開催の2つのパターン
- 仮想空間上のみで開催するケース(実写または3DCG)
- リアルイベントと同時開催するケース(ハイブリッド型)
リアルであれバーチャルであれ、展示会開催の目的はビジネスチャンスを掴むことだ。そのためにバーチャル展示会でも、リアル展示会と同じようなことが可能になっている。具体的には、次のようなものがある。
バーチャル展示会でできること8つ(プラットフォームにより異なる)
- メインページ(ランディングページ=LP)の制作
- 受付
- 出展ブースでのプレゼンテーション(資料掲示、音声案内、静止画、動画など)
- 来場者とのコミュニケーション(名刺交換、問い合わせ、資料請求、チャット、音声通話、ビデオ通話など)
- 講演会やセミナー
- 来場者分析や管理
- アバターによる会場内移動
バーチャル展示会の会場内で何ができるのか、どこまで自由がきくのかは、各社がリリースしているプラットフォームによるところが大きい。実写か完全3DCGかどうかによっても、できることや見せ方は変わってくる。費用は後述するが、そこがプラットフォーム選びの基準になるといえる。
リアル展示会とのもっとも大きな違いは、来場者分析が詳細にできることだ。いつ誰がどこで何を見たか、どこにどれくらい滞在したか、何に興味を示し、どこで離脱したかなど、来場者の行動を丁寧に追うことができる点にある。
2021年に開催されたバーチャル展示会の事例24選
2021年、実際に開催されたバーチャル展示会の事例を見ていこう。今回は24例を取り上げる。地域や産業振興のため自治体や商工会などによって開催されるもの、特定の業界や業種に特化したもの、単独の企業によって開催されたものから、それぞれ紹介する。
バーチャル展示会の主催者3つのパターン
- 自治体やNGO、NPOなどの組織によって振興目的で開催されるもの
- 特定の業界や業種に絞って集客目的で開催されるもの
- 単独の企業や組織によって集客目的で開催されるもの
主催者 | 事例 | 主催 | ジャンル |
---|---|---|---|
1.公共団体など | 産業交流展2021 | 東京都ほか | 総合 |
デザイン商品バーチャル展示・商談会in京都 | JETRO | 総合 | |
バーチャル神戸のつどい | 神戸市 | 総合 | |
バーチャルアースフェス | 関内活性会 | 総合 | |
バーチャルイベント | 埼玉県戸田市 | 総合 | |
デジタル化・DX推進展 | デジタル化・DX推進展 実行委員会 | 総合 | |
2.特定の業界や業種によるもの | デジタル甲子園 | 阪急阪神ホールディングス | エンタメ |
マイクロツーリズムEXPO ONLINE | DMM.com | 旅行 | |
JAPANTEX2021 ONLINE | 日本インテリア協会 | インテリア | |
ジャパンインターナショナルボートショー | 日本マリン事業協会 | 船舶 | |
次世代ヘルスケアプロジェクト バーチャル展示会 | 日本能率協会 | 医療 | |
JASIS Web EXPO |
日本分析機器工業会 日本科学機器協会 |
分析機器・システム | |
国際食品工業展 | 日本食品機械工業会 | 食品製造・加工 | |
ITmedia Virtual EXPO春、秋 | ITmedia | 製造業 | |
OSAKA町工場EXPO2021 | MP-Strategy | 製造業 | |
コンテンツ東京2021 | RX Japan | 総合 | |
健康博覧会 | インフォーマ マーケッツ ジャパン | 総合 | |
3.単独の企業や組織によるもの | 農フェス!2021夏秋 | KUBOTA | 農業・畜産業 |
ツルミ建設工事EXPO | 鶴見製作所 | 水中ポンプ | |
バーチャル展示会「New Normal Beauty」 | コスメテックジャパン | コスメ | |
バーチャル展示会「NISSEI Virtual Exhibition2021」 | 日世 | 食品 | |
バーチャル展示会「新日本展」 | 新日本印刷 | 印刷 | |
VIRTUAL EXHIBITION SHISEI 21SS Collection | SHISEI | インテリア・アパレル | |
バーチャル展示会 | HellermannTyton | 配線資材 |
ここで紹介したバーチャル展示会は、一部分にすぎない。バーチャル展示会を開催する動きは確実に広がっているといえるだろう。
バーチャル展示会の費用相場
バーチャル展示会を開催する費用相場を見てみよう。バーチャル展示会のプラットフォームには、実にさまざまなものがある。始まって間もないサービスのため、ここが定番というものがないといえる中で何を基準にして選ぶか判断がわかれるところだろう。ここでは、費用相場を掴むために、人気の高い5つのプラットフォームを比較する。
プラットフォーム名称 | メーカー | 主な機能 | 価格 | 備考 |
---|---|---|---|---|
そのまま展示会 | SoVec(ソニーグループ) |
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198万円から |
別プランあり ・そのままショールーム |
V-MESSE | 凸版印刷 |
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ブースによって異なる(要問い合わせ) |
ブースは3種類
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EventHub | EventHub |
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月額3.5万円から |
プランは2種類
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meet x meet(ミーツ) | 大伸社 |
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基本使用料150万円 + 月額使用料10万円(ベーシックプラン・出展社10社以下の場合) |
プランは4種類
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WebEXPO Master | システムズナカシマ |
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複数社による展示会を主催する場合は要問い合せ(単独開催の場合は月額1万円から) | 単独開催と主催の場合では料金が異なる |
費用はプラットフォームによって大きく異なることが分かる。どれが優れていると一概にはいいがたいのは、それぞれのプラットフォームに実装されている機能の違いに加えて、開催するバーチャル展示会の規模や期間もある。どのような目的でバーチャル展示会を開催するのか明確になっているかどうかが重要だ。
今回は費用相場にフォーカスしたが、選択基準には次のようなものがあるので、参考にして欲しい。
バーチャル展示会のプラットフォームを選択する7つの基準
- 規模(単独開催、複数社による展示会を主催)
- 開催期間
- 実装している機能
- 外部連携機能
- 利用可能なデバイス
- バーチャル展示会を開催した企業一覧
- プラットフォーム制作会社の規模や実績