顧客と共創し、ブランドの未来をつくりあげるために――必要なテクノロジーとこれからの変化を探る

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2022/04/25 11:00

ブランドやクリエイターは「実証実験という種まき」を始めよ

 顧客にとって好きなブランドに「参加できるのは嬉しいこと」と言える。SNSなどでブランド公式アカウントからリアクションをもらって嬉しいと感じるのもその一例だろう。顧客は商品の機能や品質にとどまらない付加価値を求めており、「参加」「関与」がそのひとつになる。日本のビジネス文化では高品質な商品提供への意識が強いが、「プロダクトの完成度とブランドへの関与度は両立することが可能」だと狩野氏は言う。

 たとえば近年SNSを中心に、クリエイターやブランドが提供する情報や商品を「遊び道具」とすることで、ファンやユーザーとのかかわりを生むというコミュニケーションが出現。さらにブランド側がこれらにリアクションを返すことで、オフィシャルな存在が身近になり、親愛度が高まる現象が起きているのだ。これも一種の「遊び」であり「共創」と言えるだろう。

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 著名でなくとも、ブランド側がこうした間口をつくることはできる。たとえばアメリカの新興シリアルブランド「OffLimits」は、ブランドのパーソナリティを反映したキャラクターで人気を集め、オフラインでのグッズ販売やオンライン上でNFTの展開を行っている。キャラクターは日本が得意な分野であり、NFTへ発展させやすい手法とも言えるだろう。このように商品の提供だけではなく、顧客とのコミュニケーションツールとなる「遊び」を生み出していくことが、今後はいっそう重要になっていくと考えられる。

 「おもしろいところに人は集まる」と狩野氏は言う。焚き火にたとえると、火の暖かさを中心に人が集まり、それを遠くから見つける人がいて、あっちは暖かそうだと徐々に人が集まり、さらにその輪が広がる状態だ。

「ニューノーマルにおけるクリエイティブに必要なことは、その中心地で火を起こすこと。決してバズることに傾倒するのではなく、絶やさないようにその火を起こし続け、『ここはおもしろい場所だぞ』と発信すること。燃え盛るというよりは、その火が消えないようにすることが非常に大切だと思っています」

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 テクノロジーの発展によって、新たな舞台・道具が用意された。それを活用し、顧客が参加できる余白をいかにつくり出していけるか。ブランドやクリエイターは、「実証実験という種まき」を始めることで、大きな花を咲かせる可能性を秘めており、さまざまなチャレンジを継続していくことが重要である――。そう狩野氏は語り、次のように締めくくった。

「Web3.0は新しいハードとソフト、ブランドとクリエイター、そしてファン、それぞれが一緒に遊ぶ時代だと思っています。新しいテクノロジーや変化の兆しにキャッチアップし、共創の意識を持って乗り込んでいけるかどうか。これが非常に重要な考えかたであり、スタンスになると思います」